「日銀が国債の直接引き受けを行えば、通貨の発行に歯止めがかからなくなり、さまざまな問題が生じるというのが内外の歴史の教訓だ」
また、白川総裁は、日銀が当面の目標として掲げる物価の目標を3%に引き上げることについて、「現実的ではない。高い物価上昇率を目標に掲げて、政策を総動員すると、『物価が上昇する』と国民に信じられ、国債が売られて長期金利が上がり、財政再建にも悪影響が出る」と述べ、経済全体に悪影響が及ぶという認識を示しました。
「中央銀行の独立性は、長い経済・金融の歴史の中で得られた苦い経験を踏まえて設けられた制度だ。金融政策を適切に行うべく最大限努力するので、独立性を尊重していただきたい」
−−自民党の安倍晋三総裁が主張する、消費者物価上昇率を3%とする物価上昇目標は現実的か
「一般論で言えば、現実的ではない。物価上昇率は1980年代後半のバブル期ですら海外より低かった。国民が望むデフレ脱却は物価だけが上昇するのではなく、企業収益や雇用、賃金の増加で経済全体が改善し、結果として物価が緩やかに上昇する状態だ」
−−日銀による国債の直接引き受けの是非は
「中央銀行には通貨を発行する権限がある。それを背景に国債の(直接)引き受けを行うと、通貨発行に歯止めが利かなくなり、さまざまな問題が生じる」
−−衆院選で日銀の金融政策が争点に浮上している
「中央銀行の独立性は、長い経済・金融の歴史から得られた数々の苦い教訓を踏まえて考えられた制度。日銀法のようなわが国の経済・金融の基本法についての改正議論を行うのなら、十分に時間をかけて慎重な検討を行うことが必要だ」
−−金融政策の運営目的に「雇用の安定」も盛り込むべきだとの意見もある
「物価の安定と金融システムの安定によって実現される持続的な経済成長が、雇用の安定につながる」