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「一票の格差」訴訟、異例のスピード進行 安倍内閣“正当性”も左右

一票の格差」を是正しないまま実施された昨年12月の衆院選違憲として、弁護士らが全国の高裁・支部で選挙無効を求めた訴訟は相次ぎ結審し、3月6日以降、続々と判決が言い渡される見通しだ。

 「今まで、こんなことはなかったのに…」。三竿径彦(みちひこ)弁護士の表情に戸惑いが浮かんだ。1月29日、東京高裁での第1回口頭弁論。追加意見書の証拠採用を求める弁護側に対し、裁判長は公職選挙法の趣旨を踏まえ、3月中に判決を言い渡したい」と強調。取り調べを認めず即日結審した。


 今回訴訟が起こされた全国14高裁・支部のうち、14日時点で13カ所が結審。いずれも提訴から「100日目」にあたる3月27日までに判決期日が指定された。


 公選法は選挙無効を求める訴訟について、選挙やり直しになった場合の“行政の空白”を最小限にとどめるため「100日以内に判決するよう努めなければならない」と規定。「他の訴訟の順序に関わらず速やかに」審理するとしている。


 だが、半世紀に及ぶ「一票の格差」訴訟の歴史で100日裁判規定が厳格に運用された例はない。平成21年衆院選をめぐっては全国9高裁・支部で判決が出そろうまでに約7カ月が経過。最高裁判決までにはさらに1年近くかかるなど、訴訟に時間を要していた。


 このため、22年参院選に対する最高裁判決では、前回選挙への最高裁判決から選挙実施までに9カ月しか時間がなかったことを考慮。「選挙制度の見直しについては、検討に相応の時間を要することは認めざるを得ない」として「違憲状態」にとどまると結論付けるなど、近年は、是正措置のための期間不足を理由に「違憲」判断を回避する判決が繰り返されてきた。


 17年衆院選の大法廷判決などに携わった元最高裁判事の泉徳治弁護士は「当時は結論ありきの雰囲気があった。違憲判決を出さない以上、判断を急ぐ必要性も感じなかった」と明かす。


 しかし、今回は三竿弁護士らとは別に訴訟を進めている升永英俊弁護士のグループが100日規定に着目。選挙前から「規定を守らない場合は国家賠償訴訟の提起も辞さない」と、早期判決を求めてきた。


 泉弁護士は「迅速な審理は国会への厳しい姿勢の表れ。違憲判決が出る可能性も高まっている」と指摘。「TPP問題など国を二分する議論がめじろ押しの今こそ、民意が正しく反映された議会を構成することが必要。早急な制度見直しが求められる」としている。