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ウォール街にぎわす 美貌女優の株投資

 「最近、株式投資を始めたの。私にとって全く新しい分野なのだけど」。米国のサイコ・スリラー映画「ブラックスワン」(2010年)に出演した美貌の女優、ミラ・キュニスによる発言がウォール街で物議を醸している。経済番組CNBCに登場した際に発したもので、キュニスは「預金から資金移動を考えて、株式や企業の勉強を始めた」という。

 キュニス発言にウォール街関係者が反応するのはなぜか? 「素人が株式投資に乗り出したら、株式バブル(崩壊)の予兆」という格言があるからだ。

 格言の発祥は、1929年の大恐慌直前にさかのぼる。当時の資産家で、暗殺されたジョン・F・ケネディ米大統領の父親として知られるようになるジョセフ・P・ケネディは、相場急落の直前に保有株式を売り切り、資産の保全に成功した。


 ケネディ手じまい売りを決めたきっかけは、街頭で出会った靴磨きの少年だった。靴を磨いている最中に少年が「この株は上がるよ」と既に著名な投資家だったケネディに対し投資指南をした。素人の市場参入に「これは売り時だ」とケネディは確信したのだった。

 実はこの格言は、昨年も的中している。銘柄はアップルだ。昨年夏、米国人のお茶の間で有名なテレビ・タレント、キム・カルデシュアンが「アップル株を買った」とツイッターで発言した。当時、アップル株はヘッジファンド株では最も人気の銘柄で、直後にアップル株は最高値をつける。


 だが、その後の顛末(てんまつ)はご存じの通り。四半期決算で相次いでアップル株はアナリスト予想を裏切った。ヒット製品欠乏症となり、ヘッジファンドが投げ売りした結果、アップルの株価は昨年9月のピークから4割近く下げている。

 足元は代表的な株式指数であるS&P500種指数が最高値に迫り、ウォール街では高揚感と高値警戒感が交差している。景況感の改善と米連邦準備制度理事会FRB)による量的緩和解除という硬軟材料が微妙なバランスをとったうえでの株高局面だ。確かに直近の株高は必ずしも好業績を伴っておらず、あくまでも景況感の改善という「気」の効果である。


 実際、先週後半からは、クラウド関連で買われてきたアマゾン・ドットコム、ソーシャル・ネットワークキング・サービス(SNS)の雄、リンクドインとフェイスブックが急に売り込まれている。いずれも昨年12月半ばからの上げ相場を支えてきた銘柄である。


 予想株価収益率(PER)などの株式指標から見て割高感のあった銘柄は、相場が調整する際の「鉱山のカナリア」役−−調整局面において、他の銘柄に先駆けて下げる銘柄−−とされている。ウクライナ出身の美人女優の株式投資ですらニュースになってしまうのは、神経質な地合いがゆえの理由があるのだ。