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昨年衆院選は「無効」 初のやり直し命令 「1票の格差」2・43倍 広島高裁判決

広島高裁(筏津順子裁判長)は25日、小選挙区の区割りを「違憲」と判断し、広島1、2区の選挙を無効とした。無効の効果は「今年11月26日の経過後に発生する」とした。

 一連の訴訟で小選挙区についての判決は8件目で、違憲判断は6件目。

 これまで東京高裁、札幌高裁、仙台高裁、名古屋高裁金沢支部、高松高裁が「違憲」、名古屋高裁福岡高裁が「違憲状態」と判断。いずれも無効請求は棄却していた。

広島高裁が衆院選「無効」判決 戦後初 NHKニュース

去年12月の衆議院選挙は、選挙区ごとの1票の価値に最大で2.43倍の格差がありました。
おととし最高裁判所が「憲法違反の状態だ」と指摘した前回、4年前の選挙よりも広がりましたが、選挙は同じ区割りのまま実施されたため、弁護士などのグループが「国民の意思を反映した正当な選挙と言えない」と主張して、全国の裁判所に選挙の無効を求める訴えを起こしています。
このうち広島1区と2区を対象にした裁判の判決が、25日に広島高等裁判所で言い渡されました。

判決で、筏津順子裁判長は「おととしの最高裁判決によって、国会は格差是正を優先的に行う義務を負ったのに、政党間で意見が対立し区割りの改正などを行わなかった。こうした審議の紛糾は、三権分立を採用した憲法で想定されていない事態だ。民主的な政治の選挙としてはゆがみが重大で、最高裁判所違憲審査権も軽視されていると言わざるをえず、もはや憲法上、許されない」と国会の対応を厳しく批判しました。
そして、去年の選挙は憲法違反だと判断したうえで、広島1区と2区の選挙を無効とすることを命じました。

国政選挙を無効とする判決が言い渡されるのは戦後初めてです。

一方、判決は、直ちに選挙を無効にすると、この選挙区の議員がいない状態で選挙制度の改正が行われるなどの弊害が出るとして、去年、国会で小選挙区を5つ減らす「0増5減」の法律が成立したことを受け、政府の審議会が区割りの改定作業を始めてから1年となる、ことし11月27日に判決の効力が生じるという条件をつけました。

衆議院広島1区は、広島市中心部の中区・東区・南区からなる選挙区です。
去年12月の衆議院選挙では、合わせて4人が立候補し、現在、外務大臣を務める自民党岸田文雄氏が当選しました。

衆議院広島2区は、広島市の西区と佐伯区、廿日市市大竹市、それに江田島市の一部からなる選挙区です。
去年12月の衆議院選挙では、合わせて4人が立候補し、自民党平口洋氏が当選しました。

1票の格差:選挙「無効」 広島高裁の判決要旨

 ◆主文


 12年12月施行の衆院選広島1区・2区の選挙を無効とする。その効果は、13年11月26日の経過後に発生する。


 ◆区割り規定の合憲性


 11年3月の最高裁大法廷判決は、前回選挙(09年8月施行衆院選)の区割り基準中の1人別枠方式や1人別枠方式を前提とする区割りについて、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたとの判断を示した。12年12月の本件選挙までの間に、1人別枠方式は廃止されたが、1人別枠方式を前提とする区割り規定は是正されなかった。


 選挙制度の仕組みについては、国会に広範な裁量が認められており、是正は一般的に複雑かつ困難で、国会での十分な検討が必要で相応の期間を要する。11年3月11日以降、国会が国難というべき東日本大震災の対応に追われており、通常の場合と比較して、ある程度長い期間を要するのはやむを得ない。


 しかし、衆院は議員の任期や解散制度の存在などに鑑み、常に的確に国民の意思を反映することが求められている。11年大法廷判決は、できるだけ速やかに1人別枠方式を廃止し、区割り規定を改正するなどの措置を講ずる必要があると示した。憲法は、国民主権を宣言した上で、三権分立制度を採用し、最高裁違憲審査権を与えている。民主的政治過程のゆがみを是正する必要性は高く、国会の広範な裁量権は制約を受けるべきだ。国会は区割り規定の改正などを優先的に実行する憲法上の義務を国民に対して負ったと解釈するのが相当だ。


 11年大法廷判決でこの義務を国会が負っていることが明らかにされている以上、国会の審議や議決で紛糾することは憲法上予定されていない事態だ。選挙区間の人口格差の「緊急是正法」の施行で審議を再開した衆院選挙区画定審議会は6カ月以内に勧告を行うとされており、国会が国難というべき東日本大震災の対応に追われていたことを最大限考慮しても、11年大法廷判決の言い渡しから1年半の12年9月23日までに区割り規定の是正がされなければ、憲法上要求される合理的期間内に投票価値の平等に反する状態が是正されなかったと言わざるを得ない。区割り規定は本件選挙当時、憲法に違反すると言わざるをえない。


 ◆本件選挙の効力


 選挙を無効とする判決でもたらされる不都合などを勘案し、(選挙無効を回避する)事情判決をすることもあり得る。


 しかし、選挙区間の議員1人あたりの選挙人数の最大格差が、前回選挙時の1対2・304から本件選挙で1対2・425に拡大し、選挙人数の格差が2倍以上になっている選挙区も前回選挙の45選挙区から本件選挙で72選挙区に激増している。11年大法廷判決以降、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態が悪化の一途をたどっていると評価せざるを得ない状況で本件選挙が行われた。選挙権の制約や民主的政治過程のゆがみの程度は重大で、最高裁違憲審査権も軽視され、もはや憲法上許されるべきではない事態に至っている。選挙を無効とした場合の不都合などを勘案しても、事情判決をするのは相当でなく、本件選挙を無効とせざるをえない。


 ◆将来効判決


 ただし本件選挙を直ちに無効とすると、区割り規定の是正が当該選挙区から選出された議員が存在しない状態で行われることになり、相当でない。


 区画審が緊急是正法に基づき、12年11月26日以降、区割りの改定作業を開始している▽国会での区割り規定の改正作業自体に長期間を要するとまでは考えがたい▽改正によって投票価値の平等の要請にかなう区割りとなることが期待できないわけではない▽無効を1年以上の長期にわたり放置することは政治的混乱を招くもので適切ではない−−などから、無効の効果は13年11月26日の経過後に発生するとするのが相当だ。