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焦点:米キャタピラーが鉱業セクターに見切り、皮肉な株価上昇

アナリストによると、同社の発表がサプライズではなかったことが挙げられる。キャタピラーはここ数カ月間、鉱業セクターの顧客からの需要が低下していると繰り返し警告してきた。


もう一つの要因は、特に米国と中国の建設セクターに対する同社の強気な見通しだ。さらに自社株買い戻しも常に株価の支援材料となる。


キャタピラーは年内に10億ドル、2015年末までに最大38億ドルの自社株買いを行う方針。


しかしアナリストは、皮肉なことにキャタピラーが鉱山向け重機の売上高についてかなり弱い見通しを示したことも株価の支援になったと指摘する。つまり、世界的な景気低迷への懸念から金や銅が最近下落したことを踏まえても、キャタピラーが示したほど悪い状況になるとは誰も予想していないということだ。


バーティカル・リサーチ・パートナーズのアナリスト、ロバート・ウェルトハイマー氏は、キャタピラーの鉱業セクターに関する見通しは同セクターの需要が2009年の水準付近まで落ち込むことを示しており、これは前回の低迷期に底打ちした水準だと指摘。「たいていの分野で世界経済が回復するなか、われわれは明らかにそのような水準の崩壊を予想していない」と語った。


キャタピラーも実際にはそう予想している。世界経済の成長は緩やかながらも、結果的には、鉱山会社がキャタピラーの重機を使って地中から採掘する工業用コモディティ(商品)の需要を十分促進する、と同社はみている。


キャタピラー経理・財務担当、マイク・デワルト氏は「経済状況は素晴らしくはないものの、コモディティ生産を維持するには十分良い」としている。


また、オーバーヘルマン会長兼最高経営責任者(CEO)は22日、現在見られている鉱業セクターからの受注減少は世界経済への懸念と同様に、顧客が焦点をシフトさせていることが要因と指摘。


アナリスト向け電話会議で「われわれの主要顧客の中には経営陣の大幅な交代を行った企業もあり、新たな経営陣は営業コストや短期的なキャッシュフローに一段の焦点を当てており、資産についてやや懸念している」と述べた。


キャタピラーの鉱山向け重機の売上高は、建設や他のセクター向けと比べて利益率が高い。


このことなどを理由にキャタピラーはここ数年、鉱山向け重機メーカーをM&A(合併・買収)活動のターゲットとし、2010年には採掘・掘削用機器メーカーのビュサイラスを76億ドルで買収、2012年には中国の年代煤砿機電設備製造(ERAマイニング・マシナリー)を6億5400万ドルで買収した。


しかし、鉱業セクターの主要顧客の多くは、投資家に不人気な買収や、財務状況、金属価格の下落などに対する投資家からの批判に直面し、設備投資の縮小やプロジェクトの縮小・延期などに動いており、キャタピラーの資源セクターへのエクスポージャーは以前から疑問視されてきていた。


それでもキャタピラーは、2012年下期に減少し始めた鉱業セクターからの受注が2013年に改善するとの期待を持ち続けた。市場はこれを疑問視し、キャタピラーの株価は昨年春につけた52週高値の108.79ドルから最大30%下落した。


だが同社は22日、鉱山向け重機の売上高が前年から50%減少するとの見通しを示し、2013年について事実上、鉱業セクターに見切りをつけた。


アナリストによると、これを市場は待っていたという。


ウィリアム・ブレアのラリー・デ・マリア氏は「22日の発表と電話会議でキャタピラーは弱気筋がこれまで警告してきたこと、つまり、鉱業セクターがEPSを圧迫するということを確認した」と指摘。


モーニングスターのアナリスト、アダム・フレック氏もこの見方に賛同し、2013年の鉱業セクター向け販売に見切りをつけたことでキャタピラーは現実から目を背けることをやめたと投資家に確信させたとの見解を示した。


同氏は「投資家はそれが良くないであろうことは知っていたが、キャタピラーに数量で示してほしかった」と語った。


そして見切りをつけたことが皮肉にも、キャタピラーの株価急伸につながった。