ハイエクによれば,デカルト以来の近代合理主義が生み落とした計画主義的思考は,本来歴史過程において自生的に形成されてきた秩序(「自生的秩序」)をいたずらに破壊し,上から一元的な価値を押し付けることで,人間の多様性や自由を抑圧してしまう。ここでいう自生的秩序とは,さまざまな人間の予期せぬ自由な行動が複雑にからみあった結果としていつのまにか成立し,それ自体が一定の自律性や規則性をもって機能するにいたった,そのような秩序である。自生的秩序は,個々の人間や集団が何らかの意図を実規するために意識的・計画的に作り出した株序よりはるかに精妙で,文明の真の進歩を支えてきた。具体的には,言語や慣習法や伝統および市場が,典型的な自生的秩序である。市場もまた自生的秩序であると主張することで,ハイエクは,市場の失敗を人間の意図的なコントロールによって克服しようという一切の試みが,無益でありかつ本質的に危険であることを示そうとした。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20131112#1384253737
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20110425#1303724376
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20131110#1384081216(いよいよ我が知恵を捨つるこそ、道の道なり)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20130905#1378379673(至極の大乗、思議すべからず。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20130930#1380539773(以前は機動力のある日本企業が多かったのに、なぜそうなってしまったのか。)