先週来日したアメリカの新しい駐日大使で故ケネディ大統領の長女のキャロライン・ケネディ氏は、19日午後3時半から皇居・宮殿で行われる信任状捧呈式に臨みます。
「信任状捧呈式」は、日本に着任した外国の大使が本国の元首からの信任状を天皇陛下に手渡す儀式で、憲法で天皇の国事行為の1つに定められています。
ケネディ氏は、午後2時半すぎに、儀式のスタート地点となる東京・丸の内の「明治生命館」に到着しました。
このあと午後3時すぎに、宮内庁が差し向けた儀式用の馬車に乗り込んで、警察の騎馬隊の先導でオフィス街や皇居前広場を通り抜け、二重橋をわたって午後3時10分ごろ皇居宮殿の南車寄に到着します。
信任状捧呈式は、宮殿の松の間で午後3時半から15分ほどかけて行われます。
ケネディ氏は天皇陛下の前に進み出て、オバマ大統領からの信任状と前の大使の解任状を手渡したあと、天皇陛下と握手をして、しばらくの間ことばを交わす予定です。
使われる馬車のほとんどが、明治の終わりから昭和の初めにかけて当時の宮内省の工房で職人の手によって作られたものです。
車体は漆塗りで、内部にも象牙の装飾品が用いられるなど美術的な価値が高く、天皇の即位や皇族方の結婚などの重要な儀式の際にも使われます。
今は工房は無くなり、新しい馬車を作ることができないため、宮内庁は10数年ごとに車体の漆を塗り替えるなど手入れをしながら大切に使っています。
馬車列は、警察の騎馬隊の先導で皇居前広場を通り抜け、ケネディ氏は、広場に集まった大勢の人たちに馬車の中から笑顔で手を振っていました。
そして、二重橋を渡って皇居宮殿の南車寄に到着すると、出迎えた宮内庁の幹部に案内され、松の間での捧呈式に臨みました。
式では、ケネディ氏が天皇陛下の前に進み出て、「自分の信任状と前任者の解任状を奉呈する光栄を有します」と述べ、オバマ大統領からの信任状と前の大使の解任状を手渡しました。
天皇陛下は、それらを岸田外務大臣に手渡したあと、ケネディ氏とにこやかに握手を交わされました。
そして、両国の友好関係が一層進展するよう願うことばを述べるなど、その場で10分近く歓談されたということです。
ケネディ氏は、このあと再び馬車で皇居をあとにし、イチョウ並木を通り抜けてオフィス街に戻りました。
皇居での「信任状捧呈式」を終えたケネディ氏は、「天皇陛下に対して信任状を捧呈することができました。この儀式をもって私の大使としての仕事が始まります。母国を代表することができて大変光栄に思います」とコメントを述べました。