日刊ゲンダイ| 真央とのスケート観にズレ…佐藤コーチの指導に“疑問”の声
浅田真央が佐藤信夫コーチ(72)に師事したのは、2010年9月から。以来、ジャンプやスケーティングを基礎から見直してきた。約3年半で真央のスケーティングやステップはよくなったが、なぜかトリプルアクセル(3A)の成功率は上がらなかった。
五輪シーズンに入っても、3Aは一度も成功していない。それなのに今年に入ると、フリーで2度跳ぶはずだった3Aを1回に減らすというプログラムの変更で対処しようとした。
「佐藤コーチという人は、リスクの高い3Aを跳ばなくても、他のジャンプをしっかり決めてノーミスなら勝てると思っていました。3Aを決めないと満足感を得られない真央とは、スケート観に距離やズレがあったのです。3Aの成功率が上がらなかったのは、佐藤コーチ自身に『完璧な3Aを跳んで金メダルを取らせる』という強い意志がなかったからではないでしょうか」
腰痛の持病がある浅田はこの3年半で腰回りが大きくなリ、大人の女性の体格になった。それに対応した適切な指導も行っていたのかという疑問も残る。
ソチで行われた12年のグランプリファイナルの時には、腰が痛くて体に力が入らないという真央に「最後まで踏ん張れ」と言って演技をさせた。
「その話を聞いた外国のコーチは、『選手をつぶす気か。どうかしている』と呆れていた。佐藤コーチはSPの信じられないミスについて、『何が原因でのみ込まれてしまったのかわからない』と言った。こんなコメントを聞くと、真央が佐藤コーチと組んだのはベストな選択ではなかったと思う」(前出の関係者)
真央の元コーチで、今回のフリーの振り付けを担当したタラソワ氏はSPを中継した地元テレビ局の解説で、「長時間の練習」がジャンプミスの原因と指摘。「大会前にたくさん練習をすることはまったく正しくない」と言った。この点も、佐藤コーチはブレーキをかけるべきだった。
日刊ゲンダイ|真央を追い詰めた橋本聖子団長の「選手に重圧与える」発言
浅田真央をダメにした元凶の1人に挙げられるのが、日本選手団団長の橋本聖子だ。出発前から「金5個を含むメダル10個を取って帰る」と、威勢よくぶち上げていた。
安倍首相と同じ町村派に属す自民党議員であり、「ソチ五輪で活躍して2020年東京五輪につなげよう」とゲキを飛ばしたのだ。
目標達成には、「選手にプレッシャーを与えたい。日の丸に恥ずかしくない強い代表になってもらいたい」とまで言っていた。自らの出身母体であるスケートで金候補の加藤条治、長島圭一郎がメダルなしに終わっても、「目標を変えるつもりはない」とかたくなだった。
しかし金メダルは男子フィギュア羽生結弦の1つだけ。候補が1人消え、2人消えて、日本選手団にとって最後の砦が、浅田真央だったのだ。
真面目な性格の真央のことだ。「なんとかしなくちゃ」と真剣に受け止めて、さいなまれていたというのは想像に難くない。団体戦SPが終わった時に「すごい圧がかかっている。これが五輪」とこぼしている。橋本団長が「プレッシャーを与える」とまで言ったのだから、金メダル取りへの重圧は相当だったはずだ。
日刊ゲンダイ|真央だけじゃない…選手の集中削いだスポーツマスコミの重圧
煽るだけ煽っておいて負けたら手のひら返しは、日本のスポーツマスコミの常だが、ソチ五輪でも同様だった。
女子フィギュアSPで16位となった真央も例外ではない。「金へ跳ぶ真央」などと優勝は確実みたいな扱いをしながら、SPで16位になると「まさかのミス連発」ときた。浅田は暮れの日本選手権で3位。ソチ五輪の団体戦SPでも今回同様、いきなりトリプルアクセルで転倒して3位。64.07と今季ワーストの採点をされている。
浅田は「リンクに乗った瞬間に気持ちがコントロールできなくなった」と漏らしたように、精神面での不安を抱えていた。加えて短い期間にソチとアルメニアを往復。その肉体的負担も当然考えられた。
ところがスポーツマスコミは、そうしたこともまったく無視。「母と跳ぶ」などとお涙頂戴のストーリーまで仕立てて、「金だ」「メダルだ」と煽っていたのである。演技に集中させるどころか、足を引っ張っていたといっても過言ではあるまい。