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ウクライナ東部 緊張高まる NHKニュース

ウクライナ東部のドネツクやハリコフでは、ロシア系住民らによるデモ隊が議会を占拠し、7日、相次いで「主権国家としての人民共和国」の樹立を一方的に宣言するとともに、来月11日までに共和国の樹立の賛否を問う住民投票を行うことを決議しました。
ウクライナからの独立も辞さない動きが広がるなか、暫定政権のアバコフ内相は8日、ハリコフで、「対テロ作戦」という名目でデモ隊の強制排除に乗り出し、議会や政府庁舎の建物を制圧したと発表しました。
アバコフ内相によりますと、これまでにデモ隊の参加者ら70人を拘束したということですが、この際、けが人が出たかどうかなど詳しいことは明らかにしていません。
一方、ドネツクで議会の占拠を続けるデモ隊の幹部は、NHKの取材に対して、8日にも再び独自の議会を開き、「人民共和国」の首相などの閣僚を決めると述べ、住民投票の実施を強行する構えです。
ドネツクでは7日、暫定政権寄りの地元のテレビ局が何者かに襲撃され、警官隊との間で衝突が起きるなど、緊張が一層高まっています。

ウクライナ東部で、ロシア系住民を中心に独立も辞さない動きが広がり、ロシアに対し必要に応じて平和維持部隊を派遣するよう求める姿勢を示していることについて、ロシア政府は、クリミアのときとは違って呼応する姿勢は見せておらず、ウクライナ国内でロシアの影響力の維持を図る構えです。
ロシアのプーチン政権は、ウクライナ南部のクリミアのロシア系住民が支援を要請し、分離独立、ロシアへの編入を求める動きが広がった際、即座に「要請を検討する」と反応したあと、実際にロシアへの編入を進めました。
しかし、今回のウクライナ東部の動きについて、プーチン政権はクリミアのときとは違って、即座に呼応する動きはみせておらず、事態の打開のためには、ウクライナ憲法改正を行い、地方の権限を強化する連邦制の導入や非同盟を規定すべきだとの立場を主張しています。
ロシア政府としては、ウクライナに連邦制が導入されることでロシア寄りの地域の自治権を拡大し、ロシアの影響力を維持するとともに、欧米でつくるNATO北大西洋条約機構ウクライナが加盟することを防ぐねらいがあるとみられます。
さらに、欧米とこれ以上関係を悪化させないため、ウクライナ東部の動きには距離を置く姿勢を見せています。
ロシア軍がウクライナ東部に軍事介入した場合、大規模な作戦となってロシア軍にも多くの犠牲者が出るおそれがあり、プーチン大統領は軍事介入に慎重な姿勢とみられます。
しかし、現地で情勢が緊迫化した場合、軍事介入に踏み切る可能性を完全に排除しておらず、このあとのウクライナの暫定政権の出方や現地の情勢を注視していく構えです。

ウクライナ東部は、国境を接するロシアと歴史的にも経済的にもつながりが深い地域で、これまでも欧米寄りの西部地域とは一線を画してきました。
ロシア語を母国語とする住民が多く、2001年のウクライナ国勢調査によりますと、ドネツク州で母国語をロシア語と答えた人は、ロシア系住民で98%、ウクライナ系住民でも58%に上っています。
首都キエフに次ぐ国内第2の都市ハリコフでは、戦車などの軍需産業や航空宇宙産業が盛んで、取引先の多くはロシアです。
また、第4の都市、ドネツクやその近郊には、大規模な炭鉱や鉄鉱石の鉱山があり、豊富な資源を背景にした鉄鋼業は、ウクライナの輸出の20%以上を占める主力産業となっています。
輸出、輸入ともにウクライナの最大の貿易相手国はロシアで、東部地域はいわばウクライナ経済の屋台骨になっています。