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インタビュー:米景気回復が日銀緩和の出口で重要=東短・加藤氏 | Reuters

東短リサーチ社長の加藤出氏はロイターのインタビューで、日銀の量的・質的金融緩和(QQE)は成功時に債券市場にショックが起きる政策だとし、無理に達成しようとすると長期金利が急上昇するリスクがあると指摘。資産購入の削減(テーパリング)の時期とコミュニケーションが難しいとの見解を示した。


その際は米景気回復の持続が重要な要素になると指摘し、米国の利上げがあまり進まないうちに経済の勢いが失われると、日銀が利上げに動けなくなると語った。

<物価上昇下での長期金利安定、国債市場の機能が壊れたため>


──物価が上がってきたが、長期金利が低位安定している。その理由と、この先について。


経済の温度を表すバロメーターとしての国債市場の機能が壊れている。日銀としても本当は(長期金利が)じわじわと上がってきてほしいところだろうが、上がってこない」


ある日急な修正が来る可能性がある。フローの動きは抑えられるが、ポートフォリオに入っているストックの部分が売りに出てくると、一段と買い入れる額を増やさないと金利が上昇しやすい。本質的にこの政策(QQE)が抱えている問題だ。インフレを2年で2%に持っていくということは、成功するときはどこかで債券市場にショックが来る。実現できないとなると漫然と続いてしまう」


──2%に向かえば金利上昇のマグマが出てくる。


「方向性としては、2%インフレに向かってじわじわと上がっていくのだろう。ただ、来年2%を達成するかどうかとうことは、あまり重要な問題ではない。本来こだわらない方がいい。インフレターゲットは中長期のものだ。ある期間を区切って、絶対にそこで達成しなければならないというインフレターゲットをやっている国は、今ない」


「日本の場合は2年で2%にすると決意を示すことで、インフレ期待を上げるという戦略できているが、適当にずらすのがいいと思う。大きな方向性としては2%に向かっていく」


「ただ、(ずらす場合は)情報発信が非常に難しい。うまく言わないと株が下がりだしたりする。一方で、15年に達成が無理そうだから追加緩和でも何でもやって達成時期を手前に持って来ようとすると、債券価格が急落することもあり得る」


「これだけ長い間、物価は横ばいあるいはマイルドなデフレできた日本なので、2%という世界にあまり一足飛びに移行しようとすると、かえって消費や投資が縮小する人達も出てくる。漸進主義でいい」


<出口の時に逆に国債を買う可能性>


──2%が実現しそうな場合、出口政策という話になる。市場を壊さずにどうやるか。


「難しい。他国の中銀も買った証券、債券を売れない状況に陥っている。景気は回復しているが、市場から買い入れた債券を売却することで、長期金利が上がることに耐えられる景気の強さまで見通せない状態だ」


「日本はより国債を減らしにくい。米国の債券市場に比べ、日本の国債市場は参加者の多様性もあまりなく、一方向に動きやすい」


「そういうなかでGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が日銀の買いを前提に国債保有額を減らしたりするのであれば、よほど政府の財政再建が進んで、新規国債発行額が画期的に減っていくということがないと減らしにくい」


「悩ましいのは、インフレが2%で安定的になったので、出口に行くということで国債購入をテーパリングしていくと、なおさら長期金利が上がりやすい。そこでのタイミングとメッセージの出し方がすごく難しい。現実には出口の時にさらに国債を買って、市場を安定化させるという逆の動きになる可能性もある」


「ただ、その場合は(インフレ期待が)過度にオーバーシュートしないようにするコミュニケーション政策が、とても難しい」


──政府との協調は。


「ベースとしては、財政再建をやっていきますという情報が一番大事。最終的に日銀が買った国債がいつか税金で償還されるというイメージが持てないと、単なるマネタイゼーションになってしまう」


<何らかの正常化が必要、2%達成時にフォワドガイダンス>


──日銀は実際にどう動くか。


「最終的な正常化というのは時間のかかる話だが、ある程度何らかの正常化策をして、次の景気後退が来た時に日銀として切れるカードを何かためておかないと、今のままだとさらに国債を買うという話になる」


「そういう意味では、短期金利の引き上げをある程度やりたいのだろう。国債保有量をあまり減らさないで、そういう手もあり得る。経済がしっかりしていれば、償還が来て国債が減っていくのに任せて減らしていくということだろう」


「米国の景気回復がいつまで続いてくれるかというのが、すごく大事になる。米の利上げがあまり進まないうちに向こうの経済の勢いが失われると、そもそも日銀が利上げに動けるタイミングはない」


──リザーブを持ちながら短期金利を上げるというのは付利か。


「そう。米国の場合だと付利を上げるのと、FRB(米連邦準備理事会)に口座を持っていない投資家には、リバースレポである程度のフロアを作る。難しいのはイールドカーブ全体をどう持っていくか」


──情報発信はどうか。


「できるだけ長期金利が上昇しないようにソフトにやりたい。情報発信のやり方に日銀は頭を悩ませているだろう。そもそも安定的な2%達成の確認も難しい。2%が達成できた場合、2%になってから安定的かを見極めるまでの間、(市場安定化のためにも)フォワドガイダンス(の明確化)で対応してくる可能性はある」

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140612#1402570128
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