イラクでは、北部の第2の都市モスルなどを制圧したイスラム教スンニ派の過激派組織が隣国シリアにまたがる「イスラム国家」の樹立を一方的に宣言して勢力の拡大を図っています。
これに対し、政府軍も各地で空爆を強化するなど反撃を続けており、一進一退の攻防が続いています。
こうしたなか、政府軍は6日、首都バグダッドから北東におよそ100キロ離れたアドヘイム地区で、過激派組織の進攻を食い止めるための防御壁の構築を始めました。
防御壁は高さが2メートルほどで、周囲には兵士が身を潜めるざんごうが張り巡らされ、バグダッドに近づこうとする過激派組織を待ち構えて撃退する計画だということです。
イラクでは過激派組織の脅威に対抗するため、宗派や民族の違いを超えた政治勢力の結集が急がれていますが、あくまで続投を目指すシーア派のマリキ首相と退陣を求めるスンニ派やクルド人勢力との対立の溝は深く、混乱が収束に向かうめどは全く立っていません。