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古い世界秩序を守るため欧州辺境部での戦争を支持する米国 - The Voice of Russia

このところ日を追うごとに、ウクライナで起きているニュース映像を目にする事が、ますます辛くなっているのは、筆者ばかりではないだろう。焼けただれた町の通り、無残に破壊された自宅前で号泣する女性、目を覆いたくなるような犠牲者の遺体の数々、幼気な子供の遺体が収められた小さな棺… これらは皆、ウクライナ軍が南部・東部の住民居住地区に対し行っている空爆や重砲及びロケットランチャー攻撃の結果に他ならない。


ウクライナの政府系マスコミ機関は、ドネツク及びルガンスク両州の住民を殺戮しているのは、ロシアから「グラート」(多連装ロケット砲)を供与された「親ロシア派戦闘員」あるいはウクライナ爆撃機を派遣したロシア軍自身であると、飽かずにプロパガンダを続けている。しかし、そうした嘘にも、最近は半分真実も混じるようになってきた。例えば「反テロ作戦」に参加している「アゾフ」懲罰大隊のある指揮官は、ここ最近の住民居住区への爆撃がウクライナ空軍によるものだと認めた。おまけに彼は「パイロットは、テロリストが地上から行った攻撃と間違って、反撃してしまった」と述べている。


またウクライナ国防省のサイトに出た情報も、大きな怒りを呼び起こしている。それは、ウクライナ軍が、白旗を掲げて彼らのもとに向かっていた軍使を射殺したというものだ。サイトには、次のように書かれている―


「7月3日、反テロ作戦部隊が駐留している検問所で、ウクライナ軍人に近づき発砲するため、白旗を利用する分離主義者らの行動が見られたが、そうした謀略的試みは、断固阻止されている。ウクライナ軍部隊は、テロリストらに対し直ちに銃撃し、彼らを殲滅している。」


白旗を掲げた人間を殺害する事は、ジュネーヴ協定違反であり、戦争犯罪である。一般住民に対し武力を行使するのと同じだ。


欧州の政治家達はすでに、ウクライナのポロシェンコ大統領が目指す南部・東部住民の抵抗弾圧を支持する事は、自分達も犯罪の共犯者になる事に他ならないと理解し始めている。遅かれ早かれ、この事には答えが出されるだろう。まして在野勢力がそれについて述べているのだからなおさらだ。それゆえドイツやフランスの指導者らは、休戦を再開し、ドネツク及びルガンスクの代表達との交渉のテーブルに戻るようキエフ当局の説得に努めているのだ。


さて米国の反応だが、呆然とするしかない。新聞「Financial Times」の報道を信じるなら、7月1日未明ケリー国務長官は、ポロシェンコ大統領と電話で会談し、休戦延長を求めたとの事だ。新聞は「戦闘行為再開(より正確に言えば、戦闘行為の活発化、なぜなら彼らは戦闘行為を停止していなかったので)は欧米にとって、思いがけない不愉快事となった」と書いている。こうした記事が公開された目的は明らかだ。もしポロシェンコ大統領が、ウクライナ南部・東部をコントロール下に置けず、一般住民の犠牲者に関する真実が明るみに出れば、米国政府は「純粋な良心」を持って、ウクライナ大統領を「血まみれの屠殺人」呼ばわりし、十字を切って彼から離れる可能性があるという事だ。しかし南部・東部での悲劇に関する真実の情報が、十分欧米の世論の間に広まっていないうちは、米国は、ポロシェンコ大統領を支持し続けるだろう。


ロシアの専門家及びジャーナリスト達は、なぜ米国があれほど頑固に、厭うべきキエフ当局を支持するのか、その理由を見つけようと試みている。


オバマ大統領が、シリア壊滅を邪魔し、クリミアを首尾よくロシアに戻した プーチン大統領に仕返しをしようとしているとの見方もある。以前プーチン大統領が提唱したリスボンからウラジオストクまでの統一経済圏創設を許さないよう、ウクライナを反ロシアの砦に変えようとの米国の意向もあるだろう。さらに、ドル支配を基盤にした20世紀に形成された世界システムの崩壊を阻止しようとの試みとも言える。米国が後押しする環太平洋及びか環大西洋パートナーシップというものは、まさに今述べた最後の目的に奉仕するものだ。恐らく米国政府は、そうした目的達成において、貿易における相互決済でドルを用いない心積もりを表すロシア及び一連のアジア諸国、そして自分達の銀行設立に積極的なBRICS諸国に大きな脅威を感じているのに違いない。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140707#1404729979