バフェット氏も一目、ゴールドマン育ちの金持ち御用達バンカー - Bloomberg
バイロン・デービッド・トロットの頭文字から名付けたBDTは、富裕な顧客のために2つの役割を果たす。1つは事業の合併、拡大あるいは売却についての助言。もう1つは富裕層一族から資金を集め同族経営の企業に投資することだ。投資は直接またはBDTのプライベートエクイティ(PE、未公開株)ファンドを通じて行う。
当局への届け出資料によれば、BDTが運用する顧客資産は昨年12月31日時点で63億ドル。さらに52億ドルの調達を計画している。
「バイロンを信頼しているお得意さん名簿に載っているのは一流の人ばかりだ」と話すのは、米中西部で最大のPE投資会社マディソン・ディアボーン・パートナーズのジョン・カニング会長だ。「彼はシカゴで非常に重要な役割を果たしてきた。大手投資銀行の大半はシカゴが本拠ではないので、BDTは特大の案件でアドバイスするという独自の業態を確立できた」と解説した。
トロット氏の豪華な顧客リストに登場する大物ナンバーワンは、世界3位の富豪のウォーレン・バフェット氏だ。今や伝説的投資家のバフェット氏(83)は、自身のバークシャー・ハサウェイ を時価総額で世界5位の大企業に育て上げた。トロット氏は少なくとも12年間、バフェット氏の代表的な買収の幾つかで中心的役割を果たしてきた。
バフェット氏とトロット氏の結び付きは、トロット氏がゴールドマンにいたころに培われた。2002年に当時ゴールドマンのCEOだったヘンリー・ポールソン氏は富裕層へのサービスで組織を再編し、トロット氏をバフェット氏の担当にした。トロット氏はバークシャーが台所用品メーカーや生鮮食料品会社、子供服メーカーを買収するのを助け、バフェット氏から高い評価を受けた。
バフェット氏は03年の株主宛て書簡でトロット氏について、「今まで関わったどの投資銀バンカーよりもバークシャーのことを深く理解している」と記し、「これを言うのは心が痛むが、高い手数料に値する」と付け加えている。
トロット氏は世界の富豪番付上位30人の少なくとも10人のために力を尽くしたことがある。富豪のチャールズ、デービッド・コーク両氏に加えて、米マーズやウォルマート ・ストアーズの創業者一族らがそうで、ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば彼らの合計資産は8月初旬に約3800億ドルだった。
トロット氏を取り巻く金持ちクラブの入会金は安くはない。当局への届け出資料によると、同氏のPEファンドの一つであるBDTキャピタル・パートナーズ・ファンド・I・エルピーへの投資額は最低が2500万ドル。昨年末までに90人が同ファンドへの出資を決めている。
トロット氏は自身と自身が持つ富裕層ネットワークをできるだけメディアに露出させないようにしている。BDTには不特定多数がアクセスできるウェブサイトもないし、トロット氏がインタビューに応じることも滅多にない。この記事について一連の質問に答えることも拒否した。バフェット氏とポールソン氏、コーク兄弟もコメントを控えた。
何がトロット氏を突き動かしているのかを垣間見させるのは、逆境に負けずに成功を収めた人物を毎年選ぶホレイショ・アルジャー協会が同氏を11年に表彰した際の略歴だ。「投資銀行で学んだことと投資行動を組み合わせてみるのが好きだった。そうするとすぐに、自分が提供できる付加価値に気付いた」と同氏は述べている。
Power Network Draws Rich Families to Chicago Banker Byron Trott - Bloomberg
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140528#1401274120