【正論】両翼と闘う河合精神と朝日の差 比較文化史家、東京大学名誉教授・平川祐弘 - 産経ニュース
「アジア諸国は独立を回復することを熱望することは確かである。然(しか)し日本の力を借りることには賛成しまい。何故(なぜ)なれば英米の宣伝により日本を誤解している点もあろうが、日本の過去の外交史が彼等(かれら)に疑惑を抱かしめるからである。英米を排して日本を代わりに引き込むならば、彼等は寧(むし)ろ英米の方を選ぶだろう。何故なれば日本の内部に於(おい)て同胞に対してさえ充分(じゅうぶん)の自由を与えていないのに、その日本から外国は充分なる自由を与えられることを期待しえないからであり、又(また)英米にはたとえ不徹底なりとも自由主義的思想が浸潤している。異民族を統御するに就いて彼等は日本人よりも妙諦を解しているからである。アジアの諸国に於ける日本の信用をば、吾々は決して過超評価してはならない」
河合は昭和初年、プロレタリア独裁を肯定する左翼共産主義が盛んとなるやそれを批判した。が満州事変以後、青年将校が暴発し右翼国家主義が台頭するや今度は軍部専横を批判した。真の自由主義者は今でもそうだが、左右両面の敵と戦わねばならない。河合研究会で丸山真男が河合の衣鉢を継ぐ学者だと武田清子が言うから私は真っ向から反論した。右翼には手厳しいが左翼には甘い男が河合の思想的系譜に連なるはずはない。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20141001#1412160045
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20141001#1412160074