シリアの化学兵器を巡って、OPCW=化学兵器禁止機関は、去年、猛毒のサリンなどの化学兵器が廃棄されたあとも、破棄の対象とされなかった有毒の塩素ガスが繰り返し使われ、住民が呼吸困難を起こすなどの被害を受けていると指摘しています。
国連安保理は6日、こうした塩素ガスを使った攻撃を強く非難し、シリア国内のすべての勢力に対し塩素ガスの使用の禁止を求める決議を、アメリカやロシアも含む賛成多数で採択しました。
決議の採択のあと欧米各国は、「塩素ガスは組織的に使われており政府軍の関与は明らかだ」と主張し、このうちアメリカのパワー国連大使は、「アサド政権は再び塩素ガスという野蛮な兵器でシリア国民を迫害している」と強く非難しました。
これに対して、アサド政権を擁護してきたロシアのチュルキン国連大使は、「確かな証拠もないまま政権に責任を押しつければ、実際に塩素ガスを使っているテロリストたちを野放しにすることになる」と欧米側に反論しました。
シリア情勢を巡って、各国はイスラム過激派への対策で足並みをそろえているものの、アサド政権への対応ではなお欧米とロシアが鋭く対立しています。