イエレン米FRB議長の議会証言要旨(11日) | Reuters
<利下げは可能性の低いシナリオ>
次回の動きが利下げとなるのに十分な景気低迷が起こる可能性が高いとは考えていない。その可能性を大幅に高めるのに十分なほど、経済見通しが変化した兆しは見られない。
だが金融政策は予め決まった軌道にはないことを明確にしておきたい。もしわれわれのリスクに対する見方や見通しがこれを適切にするほどに変われば、米連邦公開市場委員会(FOMC)は目標達成に向けて必ず考慮する必要がある。ただ可能性の高いシナリオだとは考えていない。
<物価押し下げ要因は一時的>
エネルギー価格の下落が続いている。いずれは下げ止まり、安定化すると思う。エネルギー安、ドル高が収まれば、インフレは加速に向かう。ただその正確な時期を予測することは難しい。
<マイナス金利に関する検証>
われわれは2010年に、マイナス金利について検討し、緩和促進に向けて上手く機能しないとの結論に至った。
すでに実施している欧州諸国などの経験から、われわれはマイナス金利について見直している。なぜなら追加緩和を行う必要が生じた場合に備えておきたいからだ。
われわれはまだ評価を終えていない。米国の制度に照らし合わせて機能するか考えなければならない。自動的なものではない。多くの検討事項がある。可能性は排除しないが、機能するかどうか判断するにはやるべきことがある。
<欧州のマイナス金利>
一部の欧州諸国が実施している水準までマイナス金利を引き下げることが可能だとは驚きだ。
<景気後退の可能性>
われわれは動向を注視している。どの年も常にリセッション(景気後退)入りの可能性はいくらか存在するが、拡大が消失することはないことを証拠は示唆している。
われわれは国際金融市場、および経済へのリスクを生じさせる経済動向を注視するとともに、これを評価しており、リスクバランスに影響を及ぼす可能性があると認識している。
現時点で結論を出すのは時期尚早だ。
<米銀行システムの力>
直近7年間にわたってわれわれが講じたさまざまな措置で、銀行システムの耐久性がかなり増し、さらに強固になった。資本状況も改善、流動性も高まる形で、非常に著しい成果があった。
強固な銀行システムが実際に存在し、顕著な改善を示した。
<賃金の伸び>
(賃金の)持ち直しの兆候はせいぜい暫定的なものであるといえる。労働市場の回復が期待通り続けば改善余地はあり、賃金の伸びはさらに一定程度持ち直すと引き続き予想している。