「慶應義塾」新塾長に得票トップは選ばれず! 2位を指名したワケ…〈週刊朝日〉 (dot.) - Yahoo!ニュース
関係者によると、20日午後2時からの評議員会は珍しく紛糾したという。
議長の岩沙弘道氏(三井不動産会長)は、新塾長を選ぶ銓衡委員会が長谷山氏を指名したと報告。「ご異議なしと思います」と打ち切ろうとしたところ、「異議あり」の声があちこちから上がった。「なぜ得票1位が選ばれない」。「説明してもらわないと、学部に帰って報告できない」と訴えた学部長もいたという。
新塾長は事実上、3日前の17日に決まっていた。
三田キャンパス某所で開かれた塾長候補者銓衡委員会。議事が公表されない秘密会合。内規で塾長は「評議員会が選任」となっているが、実際に決めるのは銓衡委員会だ。投票で選ばれた上位3人から1名を評議員会に推薦する。銓衡委員会の委員長も岩沙氏だ。
メンバーの半数はOBの財界人。多くが長谷山氏を推した。秘密会合のはずの委員会だが、議事メモが学内に密かに出回っている。
メモをもとに、委員会の模様を再現するとこうだ。
「長谷山候補がいい」と口火を切ったのは、菊池廣之委員(極東証券会長)。茂木友三郎委員(キッコーマン名誉会長)も「セカンド(2位)がいい。現執行部の継続が望ましい」。
佐治信忠委員(サントリーホールディングス会長)は「改革が必要。現執行部ではなく1位を選ぶべきだ」。上原明委員(大正製薬会長)も「国際化を考えると細田氏がいい」と発言。すると、ほかの財界人からすかさず、長谷山氏を推す声が上がった。
委員長の岩沙氏が「時間が来ましたのでこれで最後」と元塾長の安西祐一郎委員に発言を促し、「委員会としては長谷山候補を全会一致で評議員会に推薦します」と宣告。賛同する委員の拍手で終わった。発言のほとんどは外部委員。学内からは、河添健委員(総合政策学部長)が「国際性、改革性で細田氏が優れている」と主張したくらいで、ほとんどの委員が沈黙した。
「よほど細田さんになってほしくない事情があったのでは」という観測がしきりだ。清家塾長の任期終盤には、日吉記念館の建て替えや新たな学生寮建設などの計画が相次いだ。利権やカネが絡む話があるのでは、との臆測が広がっている。
「震源地は今年100周年の医学部」との見方もある。
東京・信濃町に約300億円かけて新病院棟の建設が進んでおり、主導したのは元病院長の戸山芳昭名誉教授とされる。「次の塾長は戸山さん」と清家塾長は周囲に漏らしていたという。
医学部関係者は言う。
「2年ほど前、評議員会議長だった西室さんから『次の塾長は戸山と聞くが、どんな人物か』と尋ねられた」
常任理事の戸山氏は、次期塾長の本命だった。ところが、医学部内が割れた。基礎研究を重視する岡野栄之医学部長が名乗りを上げ、票を食い合った。推薦委員会の1回目の投票で、戸山氏は上位5人に入らずに脱落。本命は長谷山氏に差し替えられた、という見立てがもっぱらだ。
慶應には国庫から多額の予算が下り、医学部に手厚い。基礎研究部門と、病院など臨床部門とのつばぜり合いが塾長選にまで投影した。カネや権限に縁のない教職員票が“普通の人”の細田氏に集まった、とも言われる。専門は環境経済学、日本聖公会に所属するクリスチャン。活動の場はロータリークラブで、学内政治に興味はなく、権威になびかず、言うべきことは言う。そこが嫌われたのか。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170505#1493981091
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170421#1492771528