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1. 知ったかぶりはしない


まず気づいたのは、バフェットは気楽にくつろいだ様子、かつ非常に威厳のある口調で語る一方で、自分の知識にあるものしか口にしないこと。私たちの研究では、これが内向的な指導者の大きな特徴であることが分かっている。


私のような外向的な人間は、流れに合わせて話を作ってしまう傾向がある。もちろんこれが問題に発展することもあり、そうなってしかるべきだ。内向的な人は外向的な人に見劣りしないコミュニケーション能力を持っている場合もあるが、自分の知識の範囲から足を踏み出すことはめったにない。年齢と経験を積んだバフェットの専門分野は非常に多岐にわたるが、彼はそれ以外の分野で偉そうに持論を述べることはなかった。


2. 言葉へのこだわり


次に印象に残ったことは、深く考えた巧みな言葉遣いにより、バフェットの返答がまるで宝石のように感じられたことだ。学生は事前にバフェットの経歴に関する本を読み、インタビューをいくつも見るなど、下準備を怠らなかった。ウォーレンは以前にも聞かれたものと同じ、あるいは似通った質問に対しても宝石のような美しい答えで返答し、信用できる人物だという印象を与えていた。


私たちの調査では、内向的な人は言葉にこだわりが強く、言い回しをめぐって葛藤する傾向にあることが分かっている。議論の際には、事前に周到な準備を行い、頭の中で答えを編集済みのため、その内容は非常に良いものになる。


私は比較的内向的な同僚のヘンリー・ミンツバーグと何度か本を共同執筆している。彼がマネジメント学者・ライターとして成功したのは、そもそも非常に頭の切れる人物で1960年代からマネジメントを勉強してきたことに加え、編集に編集を重ねる執筆方法に秘訣(ひけつ)がある。


言葉遣いにこだわる彼の文章は、大半のマネジメント専門家が書いたものよりも単純に質が良いのだ。外向的な性格の私は、最初こそ少しいら立ちを感じたものの、その成果を見て、文章を書くときはヘンリーやウォーレンのようになろうと心に決めた。2人が記憶に残る言葉を非常に多く残しているのも不思議ではない。言葉を練るのに相当の時間をかけているのだから。


3. 狭く深い関係作り


3番目に気づいたのは、ウォーレンが外向的な人のように全員と交流しようと考えず、少ない人数の中でのネットワーク形成に取り組んだことだ。これは内向的な人によく見られる。


各校の学生との写真撮影にとても快く応じた彼は、昼食のときには同じテーブルに座った6人の学生とのみ時間を過ごし、一度に話すのは1人か2人だった。バフェットはこの6人と深い会話を交わしたが、私が同じ人数の前で講演するときおそらくするように、テーブルからテーブルへと素早く移動していくことはなかった。


私は実際、全く知り合いのいないアイスランドで同様の人数を対象に講演した時、部屋中を移動して全てのテーブルの人と交流していた。だが先週のバフェットの行動を見て、より良いリーダーとして彼のように行動するべきだと思い直した。人と手短に話してつながるのではなく、中身のある深い会話をするのだ。この偉大な人物からまたもや学びを得た。