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「勝負は対局前に既についている」とはあるプロ棋士の言葉。これはある意味、「対局までの過程がとても大切な時間なのだ」と言い換える事もできます。


将棋の対局ではどう指していいのか分からない局面が必ず出てきます。プロ棋士の皆さんは日々、地道な研究や"頭の筋トレ"を積み重ねて対局の場に臨んでいますが、それでも研究とは違った展開になるものです。そんな局面は、「指運」が働くと言われますが、本当に強い人はこの「指運」が悪手にならないのです。一体、何故なのでしょうか。

緊急時にこそ、本当の力が試されるのです。

羽生三冠はこんな言い方もされています。「分からないからこそ勝負どころ。ぼくの場合、読みより勘で決めます。」

結局、私の様に悪い手になってしまうのは、今まで努力をしていなかった証拠です。プロ棋士は実体験でそれを知っているから、対局の中でそういう局面に出くわしたときに指運で当たりの方に手を持っていくためにも、棋譜並べや詰将棋、読みの無駄、戦術の研究など様々な努力を積み重ねているのです。だから羽生三冠も、銀将の裏がすり減るまで家で駒を並べて研究しているのです。あのすり減った銀将を見たときの衝撃は今でも私の脳裏に残っています。プロ棋士の凄さをまざまざと見せられた気がします。


理屈や読みだけでは説明できないような「指運」や「勘」にこそ、不断の努力の本質が反映される。その人の過ごしてきたすべての時間の結果が偶然に見える一手に表れる。そう考えると、指運の意味するところの重さに、思わず襟を正す思いがします。

そんなとき私たちも、何をどれだけ頑張って積み重ねてきたか、どういう心持ちで生きてきたか、そういうことが問われることになるのだと思います。

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