問題解決だけでは、「真のリーダー」にはなれません。 - 三流上司は「丸投げ」し、二流上司は「細部」にこだわる。一流上司は「○○」を示して、あとは任せる。 https://t.co/3Y3VqCRfCy
— ダイヤモンド・オンライン (@dol_editors) 2018年3月3日
臆病な理想家──。
私は、これが優れたリーダーの特性だと考えています。理想をもたない者は、現実対応に終始するのみ。それでは、組織に活気を生み出すことはできませんし、何より発展性がない。理想こそが組織の活性剤であり、組織を持続的成長に導く原点なのです。ただし、現実を見据えない理想主義者が口にするのは“寝言”のみ。だから、現実を冷徹に見据えながら、臆病に理想を描き出すリーダーこそが卓越した存在になりうるのです。
こう言ってもいいでしょう。
ソリューションに徹する人物は有能なビジネスパーソンではあっても、真のリーダーたりえない、と。「ソリューション型リーダー」などとカタカナ語(横文字)を使えば格好よく聞こえますが、日本語に直せば「課題解決型リーダー」すなわち「困りごと解決屋」にすぎません。
つまり、与えられた課題を解決する「受動的」な存在に終始するということであり、彼が最大の能力を発揮したとしてもブレークイーブン(損益分岐点)に持ち込むのが限界。組織を成長させるリーダーとはなりえないのです。
だから、リーダーは、自ら課題をつくり出すクリエイター(創造者)でなければなりません。
リーダーが仕事をするときには、まず第一に担当する仕事の「理想像」=「あるべき姿」を思い描く。その「あるべき姿」と「現実」の距離こそが、リーダーが自らつくり出した課題なのです。
そして、その課題を解決するための道筋を、メンバーとともに考え出して実行する。その結果、組織に新たな地平を切り拓くという「能動性」こそがリーダーシップ。もちろん、リーダーたる者、ソリューションもできなければなりませんが、クリエイション(創造)こそがリーダーシップの本質だということは、いくら強調してもしすぎることはないのです。
当初は、私のリーダーシップによって始まったプロジェクトですが、個々のメンバーのオーナーシップを保証することで、彼ら一人ひとりがリーダーシップを発揮し始めると、今度は彼らが私を引っ張っていくようになり、チーム全体の生産性が加速度的に高まっていったのです。
そのためにも、リーダーはあまり細部までコントロールしようとしないほうがいい。
もちろん、全体の方向性の舵取りはリーダーが握っていなければなりません。「あるべき姿」の根幹を成すコンセプトをがっちりと握って、そこからズレるものは排除する必要があります。
また、全体のバランスを見るのもリーダーの役割です。メンバーはそれぞれの立場でベストの提案をしてくれますが、それはあくまで「部分最適」。それらを寄せ集めただけでは、「全体最適」を図ることはできません。「全体最適」を見ることができるのはリーダーだけですから、その役割をしっかり果たさなければなりません。
ただし、権力的に仕切るというスタンスは最低限に抑えたほうがいいでしょう。
むしろ、何度でも「あるべき姿」の全体像を説くことで、個々のメンバーにも「全体最適」のイメージを培ってもらう努力をすべきです。
骨が折れる局面もありますが、彼らもプロジェクトを成功させたいという思いは同じですから、「部分最適」にこだわるのが愚かなことであることは必ず理解してくれます。そして、同じ結論であったとしても、結論を押し付けられたと感じるか、自らの意思でたどり着いた結論だと思えるかで、実行力には雲泥の差が生まれます。
あくまでも、メンバーのオーナーシップを大切にする──。
この急がば回れの精神が、結果としてリーダーシップを強固なものにしてくれるのです。
その意味では、現場に「丸投げ」するリーダーは論外ですが、あまり「細部」まで手を突っ込むリーダーは二流と言えるでしょう。優れたリーダーは、「大きな絵」を描いて、あとは任せるのです。