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 ちなみに「ゼロ高」は、学校教育法上の高等学校ではない。所定の単位を取得して高卒資格を得る高校には「全日制」「定時制」「通信制」があるが、「ゼロ高」はそのうちの通信制高校の「サポート校」の位置づけになるという。そのため、「ゼロ高」に入るだけでは高卒資格は得られないが、広域の通信制高校「鹿島山北高」(神奈川県)と教育提携することで、通信制高校として高卒資格を取得できる。

 学校教育や高等教育の中で重要とされる「教養」について、堀江氏はどう考えているのだろうか。


 「知識だけじゃなく、教養は『つぼを突く』みたいなところがあって、人生で一生使える哲学を学ぶための本というものがある」と持論を語り、具体的に「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)や「嫌われる勇気」(岸見一郎、古賀史健著)、「経済ってそういうことだったのか会議」(佐藤雅彦竹中平蔵著)などの書籍を挙げ、これらを読めば事足りるとの見方を示した。


 今の高校では何のために学ぶのかも動機づけが乏しいとも指摘する。「微分積分」について「ぶっちゃけ、今の教育は積み上げ型なので、微積を覚えるモチベーションがない。なんのためにこれやるの、みたいな。例えば、実際にプログラミングで『フーリエ解析』が必要だと言うと、学ぶ気になると思う」


 料理に関しても、醤油や紹興酒が「メーラード反応」によって琥珀色になるなどの例を引き合いに出し、「そこからいくと化学を勉強しようかな」という興味がわくのではないかと例示した。


 堀江氏は、「ゼロ高」でいろいろな「気付き」「きっかけ」を提供したいという。それには、自身の子供の頃の経験も根底にある。


 インタ―ネットなど存在しない30年以上前、地方の公立小学校に通っていた堀江氏は「何も情報がなかった」。しかし、小学校3年生の担任の「君はここにいる人じゃない。塾に行った方がいい」という一言で、情報の空白が埋まったと振り返る。当時、その公立小で中学受験をする児童は数人しかいなかったが、担任の勧めをきっかけに塾に行き、中学受験をして、現在の堀江氏につながったという。


「ちょっとしたきっかけだったり出会いだったりで、意外とコツみたいなものがあって、それを探してやればできる」


 現在でも、さまざまな気付きが自身にもある。