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羽生結弦選手は、男子シングルのフリーで世界で誰も成功させていない「4回転半ジャンプ(=クワッドアクセル)」に挑み、成功こそなりませんでしたが、ISU=国際スケート連盟の公認大会で史上初めて4回転半ジャンプとして認定されました。

回転不足で完全な形での成功とはならなかったものの、羽生選手が挑んだ最高難度のジャンプが認定されたことで、世界のスケーターたちに新たな道筋が示されました。

羽生選手が本格的にクワッドアクセルに挑戦すると表明したのは4年前のピョンチャン大会です。

そこから最高難度の技の成功に向けて多くの時間を費やし、今回、ようやく技の認定までたどりつきました。

羽生選手が今回、新たな扉を開けたことで世界の選手たちもそれに追随して成功を目指す流れが生まれる可能性がある一方、スケーターたちにとってクワッドアクセルが「勝つために習得するジャンプ」になるためには、まだ時間がかかりそうです。
現在、ISUは、ジャンプの難易度ごとに基礎点を設けていて、例えば2回転ルッツだと2.10、3回転トーループだと4.20、トリプルアクセルでは8.00と決められています。

今回、羽生選手が認定されたクワッドアクセルは、すべてのジャンプのうち最も高い「12.50」に設定されています。

羽生選手がフリーの冒頭で飛んだジャンプ。
公式記録を見ると、「4A」と記され、その右側に回転不足を意味する「<」マークがついています。また「BaseValue(=基礎点)」は「10.00」となっています。
羽生選手のジャンプが、国際スケート連盟の公認大会であるオリンピックの舞台で「クワッドアクセル」と認定されたうえで、基礎点が本来の「12.50」から「10.00」に下げられて採点されたことを表しています。
一方で、クワッドアクセルの基礎点は4回転ルッツの11.50とは1点しか変わらず、4回転フリップとも1.5しか開いていません。

選手たちが勝つために新しいジャンプを習得しようとするとき、誰も成功していない難しいクワッドアクセルよりも4回転ルッツや4回転フリップなどに取り組んだ方が、効率はよいと言えます。

今回、羽生選手の挑戦が認定されたことで、新たな段階に入ったクワッドアクセルに対して、世界のスケーターたちがどのような姿勢で向き合うのか、今後の動向が注目されます。

「早く会いたい存在」
羽生選手は世界で誰も成功していない4回転半ジャンプへの思いを独特な表現でことばにしてきました。そして迎えた3回目のオリンピック、その前人未到の大技への挑戦を多くの人が固唾をのんで見守りました。

オリンピック3連覇をねらった羽生選手でしたが、前半のショートプログラムで冒頭の4回転サルコーにミスが出て、8位と大幅に出遅れ、トップのアメリカのネイサン・チェン選手とは18.82の差がつきました。

羽生選手は、後半のフリーで巻き返しを図るとともに自身の最大の目標と位置づける4回転半ジャンプの成功を目指しました。練習でも一度も成功していない最高の難度を誇る4回転半ジャンプ。これまでに1000回以上も挑戦していずれも失敗し、一時は1人、暗闇に取り残された感覚になったというほど自分を追い込んでその成功を目指してきました。

そうまでして4回転半ジャンプにこだわる理由について羽生選手は「人生、何度もあるわけではないし、自分で選んだ道」としたうえで「4回転半とか5回転を跳びたいと言っていた小さい頃の自分がいたり、またそれをずっと繰り返している今の心の中の自分がいる。それにずっと突き動かされている」と話していました。

そして北京オリンピックに向けて「4回転半ジャンプが、自分の手元にいま、駒としてちょっとでも使えるようになってきた中で、その子を仲間に引き入れてあげれれば勝てる。その子さえちゃんと一緒に“天と地と”に組み込めて今の構成が保てるのであれば、絶対に勝てると思える。だから4回転半は自分の武器にしなきゃいけないし、勝つならやらないといけない」と、大技の成功がオリンピック3連覇にもつながると信じていました。

初めて試合で挑戦した去年の全日本選手権では、成功できませんでしたが、8日のショートプログラムのあと、改めて今大会での挑戦に意欲を示していました。羽生選手は10日午前中の公式練習では4回転半ジャンプを跳ばず、右足を気にする様子も見せていましたが、そのあとの演技直前の練習では4回転半ジャンプを確認。本番に向けて感覚を研ぎ澄ましているようにも見えました。

迎えたフリー本番。
天と地と」の冒頭で勢いよく滑り始めるとタイミングを合わせて跳びましたが、着氷で転倒。羽生選手が早く会いたいと願ってきた4回転半ジャンプと北京で出会うことはできず、夢の実現は先へと持ち越されました。

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