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石倉　洋子　一橋大学教授
　国の競争力調査を見ても日本の二面性が垣間見える。
＜中略＞
　こうした二つの対照的な見方が、日本が抱える真の問題とその解決の方向に関する議論を少なからず混乱させている。
＜中略＞
　問題は、明らかに「もう一方の世界」に巣くう病理だ。すなわち、日本が誇るべき優良企業の業績の足を引っ張る存在だ。
＜中略＞
「悪平等」や「内向きの格差解消」、「エネルギーを消耗するだけの内戦」を志向する「もう一つの世界」が力を増すと、光る企業は日本を離れていくし、またそれは望ましくないと私は思う。今こそ、付加価値を創造する優れた企業を世界に解放し、新しい日本をつくる最後のチャンスである。

（日経新聞朝刊）