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麻生後継へ「あうんの呼吸」
客員コラムニスト　田勢　康弘
　はた目には突然の辞任に見えるが、福田康男という政治家の思想や性格を詳しく点検すると、周到に考えたあげくの決断であったことがわかる。一段落したところで総理の座を引く、後継は麻生太郎幹事長に、という内閣改造人事前からの考え方を実行に移したものだ。その意味では禅譲の密約という見方もできるが、二人の間では「あ・うん」の呼吸ということだろう。
＜中略＞
首相は「自分の使命は安定した政治を引き継ぐこと」と二度繰り返した。
＜中略＞
自ら指導者としての自分を「調整型」と語っていた首相にしてみれば、対決戦略は取り得べくもない。やることなすことスピード感がなく映り、まるで他人事のようだ、何を考えているのかわからない、という批判が渦巻いた。

（日経新聞朝刊）