田原総一朗の政財界「ここだけの話」株価下落に“効かない法案”と新自由主義の曲がり角
私は率直に言って、小泉・竹中は新自由主義ではないと思う。彼らは、規制緩和や競争を強調したけれども、不良債権処理に公的資金をアメリカより早く導入し、これは50兆円以上にもなった。これは明らかにマーケットに政府が介入することであって、そういう意味で、新自由主義とはいえない。
さらに、小泉・竹中が新自由主義を敢行したために、格差が生じたという見方がある。これも私は間違いだと思う。
1990年代の後半に多くのマスコミや経済人、エコノミストが、不況の最大の理由は「3つの過剰」と言った。第1は「借金の過剰」、第2は「設備の過剰」、第3は「人員の過剰」である。この「3つの過剰」を解消しない限り、不況はなくならないということで、懸命に「3つの過剰」をなくした。
一つは、公的資金を投入した不良債権処理。設備の過剰と人員の過剰は、リストラである。このリストラは、小泉・竹中が新自由主義だから行ったのではなく、あの不況を企業が乗り切るためには、どこの企業もやらざるを得なかった。
自由主義経済で行くしかないから、そのための批判は大いにやるべきだ。
こういう世界の大問題に対し、日本の政治は関心を持とうとせず、コップの中の嵐に終始している。
私は今まで、自民党が勝つか、民主党が勝つか、どっちが勝つのがいいのかと考えていたが、これではどっちが勝ってもだめだと感じている。