恩恵は実体概念ではない。イエス・キリストが具体的な人々との交わりの中でどのような行動をとったかという関係に、神の一方的贈与である恩恵が表れているのだ。ここから「関係の類比」の手法によって、われわれは恩恵を理解することができる。
『人物・学問』
P26
継之助は方谷を訪れてつぶさに遠遊の次第を陳べ、従学の儀を懇請した。方谷は始め継之助を尋常の読書子と思い、とうてい教授の余暇等はないといって態よく謝絶した。そこで継之助は儼然として容を改め、「私は先生の作用を学びたいのであって、区々たる経を質し文を問おうとする者ではございません」といったので、方谷もこの一言に感じ遂にその請を許した。