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白川日銀総裁記者会見の一問一答

社債市場の機能が大きく低下しており、こうした状況が企業金融全体の逼迫につながっていることを踏まえ、残存期間1年以内の社債の買入について実務的な検討を進めていくことを議長として執行部に指示した。

J−REITの発行する投資法人債などJ−REITの債務を適格担保とすることを決定した。

国債の残存期間別の買入額について決定

デフレという言葉については、物価の下落という意味なのか、あるいは資産価格の下落という意味なのか、景気が悪いという意味なのか、その辺を明らかにしないと多少議論が混乱すると思う

一番大きなポイントは中長期的にみたインフレ予想、先行きの物価上昇率の予想、あるいは中長期的にみた日本経済の成長率がどのようになっていくのか、この判断が最も重要だと思う。

国際金融資本市場の緊張の持続が、株価の下落や信用コストの増大を通じて金融関係に影響を及ぼしており、資本基盤の充実があらためて重要になってきていると思う。

中央銀行の対応は、基本は流動性の供給ということになる。それから、個別の金融市場の機能不全が、全体として金融システム不安や企業金融の円滑化の低下、企業金融のひっ迫につながっていく時には、個別の金融市場に対して適宜の措置をとっていくことになると思う

日米のオーバーナイトの金利は0.1%前後で推移している。ここまでオーバーナイトの金利が下がってくると、金融政策という観点から意味のある論点は、企業が実際に資金調達する長めの資金の金利をどのように引き下げるか、あるいは量に関する安心感をどのように確保するかということが実質的に意味がある論点と思う。

日本銀行の見通しについては為替相場、株価、国際商品市況など様々な前提条件のおき方によって異なってくる性格のものである

大事なことはこれだけ不確実性が大きいわけだから、ポイントの数字について議論するというよりも、その背後にある経済・物価のメカニズムをどう理解するかが大事だと思う。

デフレスパイラルに陥るかどうかは、先ほど少し触れたが、前回2001年以降を考えてみると、この時もデフレスパイラルに陥るかどうかについては随分議論され、結果的にはデフレスパイラルには陥らなかったわけである。なぜ陥らなかったかをめぐり、いろいろな議論がなされているが、中長期的な予想インフレ率、中長期的な成長期待というものが崩れることがあるかどうかが一番大事なポイントだと思っている。この点を質問との関係で申し上げると、中長期的な予想インフレ率は丹念に点検しているが、今のところこれが大きく下落をするという感じではない。

特にこの4、5年間は非常に緩和的な環境が続いて全く流動性や資金繰りについて懸念するということがなかった。それが突然、手元流動性が枯渇するのではないかという恐怖に陥った。経済・景気がこれだけ大きく変化し、自分の会社の売上げも急速に落ちてきて、さらにこれからも大きく落ちるからもしれない。そうすると資金繰りに非常に不安が出てくる。確率は低いが起きたら非常に影響が大きいという、そういう事態が自分の身に起きるかもしれないと。そういう時にCPというのは最後にマーケットで資金を調達する手段である。そのCP市場の機能が大きく低下したという事態に対して、日本銀行が買い取ることによって、CP市場の機能の回復を側面から支援する。このことの意味は大きいと思う。

現実に低い成長率が世界的にも長く続くとだんだんと人々の中期的な予想成長率も落ちてくる。そこは注意深く見ていく必要があるが、現時点で大きく落ちている感じはない

デフレという言葉は非常にあいまいに使われる言葉だと思っているので、あまり使わないようにしている。

長期金利の中で、国債金利、リスクフリー金利を政策的に下げていく、短期金利の誘導とは別にこれ自体を狙って下げていくことの是非については、中央銀行によって多分いろいろな考え方があるいうように思う。

よりわれわれにとって重要性のある課題は、企業金融という面で、どうやって量についての安心感を出していくのかということだと思っている

需給ギャップ物価上昇率の関係をフィリップス曲線と呼んでいるが、これを日本経済の過去の長いデータに即して点検すると、物価上昇率が非常に高い経済から低い経済に移行する時には、需給ギャップに応じて物価上昇率も変動するが、先々の物価上昇率に対する期待が比較的変わらないという時には、需給ギャップが変化しても、それほど物価上昇率が変化していないというのが、近年の関係だ。

このCPの買入れは、実はこの1─3月は社債の償還がかなり多いのだが、その中で社債の市場がうまく機能していない、その結果社債の発行がうまくいかないという時に企業はその分は社債でなくCPで振り替えてくる。

中央銀行としては、置かれた経済・金融の状況に即して、何が一番適切かを常に考えていきたい

金融機関は貸出を減らしてはおらず、増やしている。寄与度を分解してみると、足元増えているのは大企業だ。ただ、これは大企業のの中にとどまっているということではなく、大企業の元には、自動車も電機もそうだが、傘下にはたくさんの下請け企業があるので、企業間信用という形を通して、中小企業にも行っているという意味だと思う。

もっと良いやり方があるのかもしれないが、私の直感でいうと、ある金額を決めるということは、介入はするがその中でできるだけ市場機能をいかしたいということなると、(CPとABCPの合計金額を決めて)あとは市場参加者が決めるということになると思う

いずれにせよ経済は為替だけで決まっているわけではないので、最後は全体としての景気の強さだが、そこは注意深くみていくということだ