「私が小さな頃、祖父が口癖のように言っていたのを思い出します。朝日の論調が変わったら気をつけろ、と」
「戦時報道とその後の検証作業をざっと調べてみて、愕然とした。戦後60年も過ぎたのに、朝日は戦争を翼賛し、国民を巻き込んだ経過について、包括的な検証をしたことはなかった」
新聞報道には軍からの強い圧力があったことは事実ですが、この本を読むと、それだけではなく、新聞の側にも、戦争へと国の背中を押した責任があったことが分かります。
「朝日に欠けていたのは、一言でいえば、言論にかける『信念』ではなかったか」
「信念」をないがしろにして、組織の発展と、生き残りのため、大勢に迎合していった
過ちを犯さない組織などというものはありえません。組織は成功すればするほど、過ちを犯しやすくなる。過ちが起きれば、まず頭に浮上するのは、どのようにしてそれを糊塗するかです。それは新聞に限ったことではなく、自らの胸に手を置けば、それぞれが大なり小なり思い当たることではないでしょうか。
なかんずく、社会的な影響度の大きい新聞をはじめとするマスコミの各社には、「新聞と戦争」にみられるような、自らの過ちを率直に認める、潔い姿勢を、これからも期待したいものです。
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