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【正論】拓殖大学学長・渡辺利夫 中国の内需拡大は成功するか

 中国が最終消費を中心に据えた内需主導の発展軌道を見いだすことは容易ではない。人口の圧倒的部分を占める農村人口の所得上昇のための政策が不在だったからである。所得分配不平等化は明らかである。

 高成長の過程で中間層が拡大したことは事実である。しかし、それよりもはるかに速い速度で貧困階層(「弱勢群体」)が増加している。貧困農村から押し出される「民工」がその典型である。

 中央コントロールの機能麻痺(まひ)である。なぜ機能が麻痺しているのか。地方政府が中央の指令に聞く耳をもっていないからである。地方政府は、開発業者、仲介業者、投機筋、傘下の国有企業や商業銀行などから成る強固な利益共同体と化し、野放図な投資拡大に走っている。

 所得再分配政策、農村開発、都市貧困住民の雇用確保を通じて内需が喚起されない以上、景気刺激策の採用後、いずれ投資反動不況到来の可能性が大である。