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さよならスタンフォード、ただいま日本《若手記者・スタンフォード留学記 40・最終回》(1) | 趣味・教養 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン

たまに鋭いコメントを発する人間はいますが、あとは(私も含めて)ドングリの背比べです。大して差はありません。

 ですので、日本の大学で突出している人間は、アメリカでも(英語を抜きにすれば)十分に伍することができます。レベルの高い学生同士を比較すると日米に差はありません。

 ただ、平均値という意味では、やはりアメリカの学生のほうが優秀でしょう。

 1つ目は、よく言われるように、成績が就職のときに重視されるから。2つ目は、読書量と書く量が多いから。怠けることが許されないので、普通の学生のレベルが上がります。3つ目は、娯楽が少ないから。より絞っていうと、男の立場からすれば、カワイイ女の子が少ないから勉強に集中できる。

 この3つの仮説を周りの友人にぶつけると、第3の理由はかなり不評でした(笑)。

アメリカの大学のすごさ、面白さは、学生よりむしろ、教授陣や研究者やその他の知的リソースにあるのではないか

 とりわけ、軍事、外交、経済分野での人材の充実度がすごい。

 日本の中国に関する分析は、イデオロギー的な悲観論か、根拠に欠ける楽観論が中心で、説得力のある悲観論・楽観論が決定的に不足しているように私には感じられました。中国とアメリカの地域研究を筆頭に、軍事・外交・経済分野の人材育成は、日本の命運を握る最優先課題だとの思いを強くしました。

 柔らかくて気軽に読める本を10冊読んでも、得られるのは散漫な知識とたくさん本を読んだという自己満足のみ。それよりも、内容が深くて、机に座って集中しないと読めない本1冊を読むほうがよっぽど大事だと痛感しました。

良いソムリエに良書を紹介してもらい、それを徹底的に読み込み、「書く・しゃべる」を通して、頭を整理する――このプロセスを繰り返すことで、一流の「頭でっかち」へと近づくことができます。

 日本では、「本ばかり読んでいてもダメだ」という意見が有力です。それは正しいのですが、現場主義だけでもダメです。現場ばかりを見ていると、視野が狭くなるおそれがあるからです。「机上の学問 OR 現場主義」ではなく、一流の頭でっかちでありながら、現場主義でもある人間――それが、今後の日本を担うリーダー像だと思います。

 随分、大言壮語もしましたが、まずは一歩一歩、自分のできることから地道に努力していく、アメリカかぶれになることなく、かといって、日本を過度に美化することなく、日本をよりよい国にしていく――それを肝に銘じて、日本での新生活に臨む所存です。