【話の肖像画】子育てのドレミ(上)ピアニスト辻井伸行さんの母 辻井いつ子
−−「1番見たいのは両親の顔」と言われたときは、どんな気持ちでしたか
辻井 その気持ちと、そんなふうに素直に言ってくれるように伸び伸びと育ってくれたのがうれしかった。記者会見は迷惑にならないように、隠れるようにして家でテレビで見ていました。
辻井 盲導犬に関する本を書いた著者、福沢美和さんに会いました。目が見えなくても積極的に活動する福沢さんからは「見えないからできないと決めないで、普通に育てればよいと思うわよ」と言われたんです。伸行には、花火や夕日の情景を説明して「きれいよ」と語るようになりました。目が見えないからといって美しい情景の話をしなかったら、彼の感性は育たなかったと思います。