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【正論】前駐米大使(プロ野球コミッショナー)加藤良三

日米の場合は趣がいささか異なる。「相互防衛」の核心部分に何かが欠落し、不透明さが残る。ただ、外縁の諸問題について日本は、柔道の言葉を借りれば「有効」「技あり」で点を稼ぎ、総合的には「優勢勝ち」ないし「一本」となる感じで、同盟をバランスさせてきた。

 中国の抬頭(たいとう)という、動かし難い現実を直視して、(イ)日米同盟を強化して中国に対応する、(ロ)日米中を正三角形ととらえて米中と等距離を取る、(ハ)「全方囲外交」(所謂国連中心主義)を採る、(ニ)安全保障の突っかえ棒として核武装を含む防御能力の確保に動く−などの選択肢のなかから、何が現実的で何が非現実的なのか、そこを選択しなくてはならない。

過去のしがらみを消化し、現実的で論理的、抑制的でありながら前向き、国民のコンセンサスに基づいた安保政策は日本なら可能なはずである。そのキーワードは、国民の健全な常識に基づいた「民主主義」であり、民主主義への「確信」であることは繰り返すまでもない。