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【正論】民主党政権発足に寄せて 早稲田大学教授・榊原英資

 かつて経済財政諮問会議で民間委員などが中心になって官僚機構を変えていこうという試みがなされたことがあったが、成功していない。諮問会議に法的権限がなかったことが、その大きな原因の一つだった。今回の戦略局には予算大枠の決定、各省への指示等明確な法的権限を与えて、法律による政治主導をしっかりと確立すべきである。官僚主導とか官僚の強い権限などといわれるが、そのベースは法律である。各省の設置法によって、その仕事の範囲が法律的に定められ、また、それぞれの個別法によって官僚システムは法律的にしっかりと固められている。戦略局の法的権限を明確に定めるとともに、各省の設置法を廃止し、政治によって、必要に応じた行政の組み替えができるようにしなくてはならない。


 ここでしっかりと認識されなくてはならないのは、官僚主導の現在のシステムは法律によって担保されているという事実だ。つまり、法律を大きく変えていくことによって、初めて官僚主導から政治主導システムに変えていくことができるわけだ。別に、官僚機構を敵に回す必要はないし、また、望ましくもない。法律的に担保された政治的リーダーシップをしっかりと確立し、官僚たちをテクノクラートとして存分に使っていけばいいのだろう。