しかし、その前途は不透明だ。私はあえて「未知との遭遇内閣」と名付けた。
新内閣の掲げる「脱・官僚」の基本方針も、マニフェスト(政権公約)の実行にしても容易なことではない。
賛否両論渦巻き、国民の期待と不安が交錯する中、すべてが初めての挑戦であり、試行錯誤の連続になるだろう。
それは取材、報道するメディアにとっても同じだ。
政治決断、政策決定の一つ一つの是非をめぐって、判断に迷うことが多くなる、との予感がある。少なくとも、従来の常識や経験則の通用しない場面に遭遇する。
こうした議論を通じて浮かび上がってきたのは「官僚主導」を「政治主導」に、とりわけ「首相官邸主導」に転換するには「制度、法律を変えない限りムリだ」ということ。「首相や大臣の指示には“面従腹背”、制度、法律をタテにいくらでも拒否できる」という。
このため、内閣法、国会法、各省庁設置法などに“横グシ”を刺す「政治主導確保法」または「政治主導貫徹法」(いずれも仮称)が必要になりそうだ。
今のところ首相や大臣の「方針転換」の指示の段階で、主戦場は新内閣が臨時国会に提出するこれらの「一括法」の成否となる見通しだ。