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【from Editor】蘇るクラシックの巨匠たち

楽譜通りに弾いても誰でも同じ演奏になるわけではない。

当たり前のようだが、これはなぜなのだろうか。

もちろん技術の上手下手、勉強の浅さ深さが大きい原因なのは間違いない。

音楽には演奏する人の人間性が見事に表れるのだ

 「あなたがね、朝起きてから寝るまでの様子が見えるっていうんです。しかも1週間の様子が」

前のレッスンから今日までの1週間、どんな生活をしてきたかが音に出てしまい、分かる人には分かってしまうのだ。

演奏家は演奏をする以前に、「楽譜を読む」仕事がある。

リヒテルが「ブラームスがこれを書いていたときの天気は、どうだったと思う?」と聞いてきた。「ぼくはその場に居合わせなかったし、答えられないね」と返答したロストロポーヴィチに対し、「雨が降っていたと思うね。そしておそらく寒い秋の日だった。ブラームスは窓越しに灰色の霧雨を眺め、そんな気分で作曲した」とリヒテルはいったという

 楽譜や音符に天気のことは書いていないし、ブラームスの自伝を開いたわけでもない。一流の演奏家は「楽譜を読み」、ただの記号である音符から、作曲家の感情から天気までをも想像する。それが演奏に反映されるから、聴き手の感動を呼び起こすのだ。

世に「巨匠」といわれる演奏家はその人なりの方法で実践してきた。