ゲルマン 私の著書(『ポストグローバル』)でも書いていますが、20世紀の政治家や経済学者はグローバルな政治、経済システムを目指してきました。ただ、その動きは必ずしもうまくいっていません。文化が持つ重要性と影響力を無視したためでしょう。
その一方で、グローバル化が進めば進むほど、ローカルが持つ伝統や文化の大切さに目を向ける人は増えつつある。こうした変化を眺めると、グローバル化の次の時代、すなわちポストグローバルはグローバル化の対極にあるローカルカルチャーが中心になる、と私は見ています。
ゲルマン 世界がつながり始めたきっかけは産業革命でした。その後、1990年代の情報革命によって世界が完全につながり、グローバルな世の中が出現しました。このグローバル社会が後戻りすることはありません。ただ、様々な情報が世界中で共有されるようになることで、ローカルが持つ文化や伝統、多様性の共存などの重要性が高まるのではないか――。私が言いたいのはこういうことですね。
ポストグローバルの時代には、文化がテーマになる。
そう考えると、それぞれのローカルの文化を認識し、理解できるグローバル企業でなければ生き残れないでしょう。
日本という国はとても面白いんですよ。1つの島国が北から南に伸びていて、その中には異なるいくつかの気候がある。しかも、日本語としては1つですが、様々な方言があり、一つひとつの地方文化が大変ユニークなわけでしょう。とても稀な国だと思います。
米国やヨーロッパはキリスト教の影響もあり、違いというものは共存しない。欧州は古いものを拒否して新しいものを生み出す連続だったけど、日本は歴史にしろ、科学にしろ、経済にしろ、建築にしろ、それまでのものを共存させながら新しいものを生み出していくことができる。そういう共存の精神が強くある。
だからこそ、米国は日本に学ぶべきでしょう。ただ、その一方で、日本人は自分たちが持っている価値観を他の国の人々と共有する努力をしなければなりません。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20091030#1256887376
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20091101#1257051230