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属する世界を複数にすべき

たとえば「ヨーロッパは階層社会ではないか」と。確かにそうした一面もありますが、ヨーロッパでは会社の枠組みを超えた同職種労組が発達。企業内のタテ構造と一線を画するヨコ社会として成熟しています。また、宗教に基づいた地域社会参画や、ボランティアへの参画の浸透ぶりを見ても、「企業社会とは別の属性」を誰もが持っています。

ひたすら、たった一つのタテ社会=企業の制度・慣習・文化・価値観に従属してきたのが私たち日本人なのです。

 異なる"社会"などいくらでもあります。家庭・家族もそう。妻という存在が窓となって、彼女が働く業界や、子育ての領域など、数々の"異なる社会"に触れることもできるでしょう。

 この特集を読む人は「一流の人材になる」ため「何をしたら効率的か」を知りたいのかもしれません。しかし、あまりに目的合理性で効率ばかり考えていては、かえって成長は得られません。複数の世界を持ち、異なる領域の人々から学び、自分なりの発見を得ること。これが今こそ大切なのです。

 たった一つのタテ社会に埋没し、既存の価値観・キャリア観を鵜呑みにしていた人たちが今どうなっているか。大企業に属する人ならば、簡単にそういう反面教師に出会うはずです。

人材育成の現場を例にしてもいいでしょう。社内人材ばかりで行う内向きの研修がどれだけ多彩に充実していても、十分とはいえません。「異なる社会と接点のある学びには、目的合理性が希薄だ」と考えている人事部門があるのだとしたら、明らかに間違っています。目的合理とは別次元の学び。その重要性を見落としているのです。