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液状化する自民党

初めて国民の手で「政権交代」が起きたわけだが、民主党政権が永続するようでは、それは歴史の逆行になる。

政権与党は選挙で国民の信任を得た訳だから、それを選挙直後から批判すれば国民を敵に回す事になる。まずは相手の勝利にエールを送り、政権運営に協力する姿勢を見せるのが欧米では普通である。

 そして10年後に最高権力者になりうる人材を発掘し育成する。

 現在の国際環境下では、政策はどの政党が担当しても大差はない。例えば自民党小泉政権が打ち出した「小さな政府」は、かつて小沢一郎氏が唱えた「普通の国」の焼き直しであり、「官から民へ」も中曽根政権以来の政治の流れを踏襲している。政策遂行の順序と手法とスピード、それにスタイルが違うだけである。従って自民党民主党の政策を頭から否定するより、じっくり見極めてから自らの政策を作る方が賢明である。拙速に批判をすると自分が政権を取った時に逆に縛られて身動きが取れなくなる。

自民党は昔の社会党になると言うことだ。それでは永久に選挙で政権を取る事は出来ないと私は思った。社会党は選挙で政権を取らない事を本旨とした政党だから、「何でも反対」で徹底した自民党攻撃をやった。それにどれほどの意味があったかは歴史が証明している。しかしそれでも自民党はそれをやるのだという。そうすると自民党は欧米諸国のような道筋は取らずに、選挙でない方法で政権を奪還しようと考えている事になる。

93年に誕生した細川政権から政権を奪還した時もそうだったが、スキャンダル攻撃で総理を辞任に追い込み、同時に与党の実力者である小沢一郎氏を徹底批判して与党を分裂させる。今回もその方法で行こうと言うわけだ。

確かに自民党執行部は予算委員会を「政治とカネ」一色にし、攻撃の的を鳩山・小沢に絞り、民主党の分断を図りながら総理退陣を実現しようとした。メディアもそれに同調して連日「政治とカネ」を叩き続けた。しかし結果はどうであったか。たった3日間の審議拒否で腰砕けとなった。自民党に対する国民の反発が強かったという。このため予算成立は確実となった。もはや国会で政権を追いつめることは出来ない。自民党が狙ったスキャンダル攻撃は裏の脅しも出来ず、表の攻撃も不発に終わったのである。

メディアだけが参議院選挙での民主党の劣勢を喧伝するが、このままでは自民党に勝ち目がないことを自民党自身が告白している。でなければ「執行部交代」や「新党結成」の話は出て来ない。もとより谷垣執行部は参議院選挙までの暫定体制だと私は言ってきた。谷垣体制によって衆議院選挙の傷を癒しながら、その後の本格体制の準備を進めるべきだと言ってきた。しかしそうはなっていないようである。準備どころか混沌として分裂含みである。自民党が自らに目を向けず、民主党批判にばかり力を入れていると、益々液状化していくのではないかとそれを怖れている。