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【一服どうぞ】裏千家前家元・千玄室 自然に感謝し素直になって

 利休は、「わび」の表現を藤原家隆の歌で示した。「花をのみまつらん人に山里の雪間の草の春をみせばや」


 何のかざりもない自然そのままの姿、それが「わび」に通ずるという。


 禅の碧厳録(へきがんろく)に「百花春至為誰開(ひゃっかはるいたってたがためにひらく)」という教えがある。見せようとして咲くのではなく、唯(ただ)春がきたら花を咲かせ、そして時期がくれば散っていく。それだけのことであるという。

 この世は入不二法門(につふにのほうもん)であることを教示したのも維摩である。相対差別の世界を出離し平等の世界に悟入するということがあり、なかなか人間社会には困難なことである。是非(ぜひ)、善悪、貴賤(きせん)、貧富すべてが相対してできあがっているのが社会である。差別していないといいながら、差別をしているのが人間であり、しかも好き嫌いの感情で物事を決めようとする。


 臨済禅師は臨済録に「赤肉団上(しゃくにくだんじょう)に一無位の眞人(仏性)あり 常に汝等(なんじら)諸人の面門より出入す…」と教えている。人間は人格の所有者であるのにそれを忘れ、外に向かっていろいろ求めようとしてうろたえている。概して人間は、自分の立場を有利にしたく自分を擁護する弁護の心をもつ。そして相手のちょっとした落ち度を非難しようとする。毎日報道される世界の事情を見聞きしていると、こうしたことの繰り返しで問題が起きていた。

 物事には陰もあれば陽もある。人間のもつ心もそうした現象でゆれ動いている。花も春風にゆれ動きやがては散ってゆく。人間は生かさせていただいているお互いの生命を、瞬間瞬間大切にして、自然の大きな恵みに感謝をささげて、もっと素直になる努力をしなければならない。

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