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【次代への名言】凛々の政治家編(35)

「今の若者をも一度呼んで来い。話して聞かせてやる」犬養毅

 《陸軍近来の情勢に関し、憂慮に堪(た)へざるは、上官の意志下僚に徹底せず、一例を挙ぐれば満州に於ける行動の如(ごと)き、佐官級の連合勢力が上官をして自然に黙従せしめたるが如き有様にて、世間も亦(また)斯(か)く視(み)て窃(ひそか)に憂慮を懐(いだ)き居(おり)候》

 満州の権益は保護する。しかし、宗主権にこだわらず、武力介入はしない。何よりも避けるべきは中国の共産化だ−。そう考えていた首相、犬養毅が陸軍長老の元帥、上原勇作に送った昭和7(1932)年2月15日付書簡の一節である。

 「話せば分かる」−。「問答無用」と銃を向けた青年将校たちに発したこの有名な一言より、撃たれ、死を前にしてなお、彼が残した冒頭のことばの方が偉大だと思う。筆者には、憲政、そして民主主義の「神様」の絶唱に聞こえる。