https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

円高より持続性が見込まれるアジア通貨高、期待成長率に格差

 「経常収支黒字、日本より高い期待成長率、金利差、労働人口の増加等を背景に、アジア通貨の上昇は今後とも続くと予想する」と大和投資信託調査部の投資調査課次長・佐野鉄司氏は言う。

 「アジアは今や世界の生産・消費のセンターであり、アジア通貨は円に対してのみならず対ユーロ、対ドルでも強含みな展開となるだろう」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト・水野和夫氏は指摘する。

 一方、「ドルは基軸通貨としてのプレミアムがさらに減少し、対ドルではしばらく円高が続く」と同氏は予想し、「日本は資源輸入でドル安の恩恵を受けつつ、アジアへの工場移転で現地生産・販売をさらに拡大する方向性になる」との見通しを示した。 

 1985年のプラザ合意後の急激な円高の際には、日本企業は積極的に海外進出し、ドル/円の調整を海外での稼働率を上げることで乗り切った。しかし、最近の海外進出のインセンティブは為替要因だけではなさそうだ。

 「企業がアジア志向を強めているのは期待成長率の格差がある。先進国では労働人口が減少する一方、アジア諸国では今後も労働人口が増加し、期待所得が上昇し、内需が一段と拡大する見込みだ」と佐野氏は言う。

 為替市場では、アジアの黒字国が保有する外貨準備の円シフトが一時話題となり、円高の一因との見方も浮上した。


 中国の対日証券投資は2010年1―5月で合計1兆2762億円を買い越し、年次ベースで過去最高だった2005年の2538億円を上回る勢いとなった。内訳は大半が日本国債で、満期が1年以内の短期債が大部分。中国外務省は「外貨準備運用の多元化戦略」(秦剛副報道局長)と説明している。


 しかし、中国を含む黒字国の円資産購入は欧州財政危機や米景気の後退などを受けた緊急避難の一時的な動きとの認識が市場では一般的だ。低利回りを背景に日本国債の海外投資家の保有率は長年6%近辺で低迷。 日本国債10年物の利回りは今週、7年ぶりに1%を割り込んだ。


 「5年先を展望した場合、低金利と通貨安リスクのある円資産はアジアの黒字の主な運用先にはなりにくい」と佐野氏はみている。 

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20100805#1280985266