https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

政治アナリスト・伊藤惇夫が2011年の政局を斬る! 「菅内閣の“山場”は、年初早々に訪れる可能性も。 理想の政治に近づくまで、政権交代は繰り返される」|年末年始SPECIAL 2011年ニッポン吉凶占い!|ダイヤモンド・オンライン

 民主党政権にとって最大の山場となるのは、来年度の予算編成を3月末までに成立させることができるか否かだ。来年1月から始まる通常国会で、「ねじれ現像」に苦しむ民主党が苦戦を強いられることは明白だ。

 もし今年度内に予算を成立させることが困難になれば、暫定予算を組むしかなくなり、混乱は避けられない。また、本予算が通ったとしても、国債発行や税制改正などの関連法案が参院で否決されれば、やはり混乱が起きる。そうなった場合は、衆議院の解散・総選挙や内閣総辞職と引き換えに、予算や関連法案を通すしかなくなる。

 もう1つの山場は、4月に行なわれる統一地方選挙だ。民主党は地方選で惨敗を重ねており、先に行なわれた茨城県議選でも、現有議席を確保するのがやっとだった。このまま統一選に突入すれば、惨敗は必至だ。菅首相の責任問題が問われ、総辞職に追い込まれる可能性もある。

 民主党政権への圧倒的な期待が、ここまで大きな失望に変わっている理由は、個々の政策というよりも、全体的な目標設定を明確に持っていないことにある。つまり、「日本をこういう方向へ導きたい」という国家ビジョンがない。


 民主党は、自民党を倒して政権与党になることだけを目標にしていたため、実際に政権をとった後の目標を用意していなかった。その象徴的な例が、党の綱領がないことだ。綱領と言っても何も難しいものではなく、単なる了解事項に過ぎないにもかかわらず、それがいまだにないから、皆がバラバラな方向に向いている。そのため、大きな政策の決断を迫られると必ず混乱を起こして、迷走する。

 必ずしも、以前の自民党政権が復活するわけではないと思う。自民党に内閣不信任案を提出させて、小沢氏と小沢グループがそれに乗って党を割り、解散総選挙になる可能性もある。その後、小沢氏が自民党連立政権をつくる可能性もあるし、他の政党と連立する可能性もある。再編の組み合わせは、何十通りも考えられる。

 国民にとって重要なことは、いざ再編となったときに、それが政策や理念に基づいて行なわれているものか、それとも陣取り合戦なのかを、きちんと見極めることだ。単なる権力闘争では、そもそも政界再編の意味がない。

――今の状態で総選挙になれば、どの党も圧倒的な議席数を確保することが難しく、群雄割拠の状態になることが予想される。今後各党は、再編を睨んでどのように動くだろうか?

――政界再編の気運が高まるなか、数の論理で政権政党が決まり、政策が後回しにされる状況が続く政治に対して、国民は何を問いかけたらよいのか?

 尖閣などの外交・安全保障問題を通じて、「国家はまともな政権の下で運営されないとおかしくなってしまう」ということに、国民は改めて気づいたはずだ。

 はっきり言えば、「人気者は危ない」という発想を持ったほうがよい。能力を見極めて地に足のついた人間を選ぶのは、国民の責任でもある。

 多少時間はかかっても、政権交代を通じて少しづつ政治を改革していく。