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人々はなぜ地震リスクに目覚めないのか 〜「緩やかな介入主義」の有効性を 齊藤誠・一橋大学大学院教授に聞く|辻広雅文 プリズム+one|ダイヤモンド・オンライン

――リバタリアンパターナリズム(libertarian paternalism)とは、どのような経済政策の考え方か。


 日本語に直せば、“緩やかな介入主義”だ。“リバタリアン“は自由主義信奉者とか自由尊重論者と訳されるが、個々人の自由意思を尊重し、政府はすべてを市場に任せる、というスタンスだ。一方の“パターナリズム”は、家父長的な干渉主義を意味する。政府は父親役を任じ、積極的に市場に介入する。この正反対の言葉をつなげたリバタリアンパターナリズムは、政府が市場に介入する場合でも、個々の経済主体の意思決定を尊重する、という立場を取る。


 先進国の経済政策の考え方は、リバタリアン(自由尊重主義)とパターナリズム(介入主義)の間で、振り子のように揺れてきた。たとえば、2000年代初頭から規制緩和の方向に進んできた金融行政は、2008年以降の米国発世界金融危機の発生を受けて、規制強化に大きく舵を切った。


 こうした振幅の大きな歴史は、自由放任主義と介入主義のいずれの政策もそれほど優れたものではなかったことを示唆しているのではないだろうか。とすれば、両極に偏ることなく、それぞれの良い点を生かした経済政策が考えられないか。それが、緩やかな介入主義だ。


 緩やかな介入は、ナッジ(nudge)と呼ばれることもある。ナッジとは、「より良い方向に軽くつつく、働きかける」という意味だ。政府が政策遂行のために人々にナッジするのだ。

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