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停電による生産減と物資不足 高失業率下でのインフレ懸念|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン

 日本では、停電による生産への打撃、およびそれに付随する物資不足が招くインフレの程度が気になるところだ。エネルギーの供給不足は、1945年8月の太平洋戦争敗戦の直後にも大問題になった。当時は石炭が主要エネルギーだったが、石炭を掘っていたのは、朝鮮や中国の人びとだった。彼らは終戦時に解放されたため、労働力がなくなり、石炭生産は急減した。それが他のあらゆる生産を縮小させた。


 空襲で破壊された生産設備も多く、貿易は事実上停止されていた。大変な凶作で、コメの収穫量は平年の3分の2にとどまった。エネルギー、モノ、食糧が極度に欠乏しているときに、政府は日銀国債引き受けや日銀貸し出しを原資にして、失業状態にあった復員軍人、引き揚げ者、軍需工場労働者への補助金軍需産業への補償金を大規模に散布した(中村隆英著『昭和経済史』参照)。

 現在の物資不足は、終戦後ほどのひどさではない。財政・金融政策が妙な動きを始めたらハイパーインフレの恐れが出てくるが、今はまだそうではない。とはいえ、震災が国民のインフレ予想を変化させると、長期国債の利回りは大きく変動する。今後の物価動向には細心の注意が必要である。