平衡系、あるいは価値へのコミットメント 〜そろそろ「政治哲学」に戻りませんか(その1)〜
「切り札としての権利、中立的国家、そして家族などの負荷なき自己というリベラルな考え方が、最近数十年の憲法や家族法に大きな影響を及ぼしてきた。手続き的共和国の寛容は、諸行為の価値を棚上げし、人々の確信や生にふさわしい評価を涵養するものではなく、『負荷なき自己』として尊重するだけなので、社会的な共存や平和を作ることはできても、一人ひとりの『固有の善を評価し、肯定するような、人格および共同体』・・・(中略)・・・から醸成される高次の多元性が実現される可能性はほとんどない」