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(117)東大教授・山内昌之 山県有朋・番外編 書状の詐術におぼれた菅首相に見る政治家の信義とペ

 広家や輝元は政治センスや戦略性の点で家康の足元にも及ばなかった。しかし、家康の陰険な政治工作はペテンの名に値するだろう。その代償は歴史を長い目で見れば高くついた。毛利はこの恨みを決して忘れず、徳川時代を通して新年には必ず倒幕の決意を新たにする儀式がおこなわれ、それは幕末まで続いたという。

 政治には謀略がつきものであり、だまされる人間が悪いという考えもありうる。それにしても、何度も言うことをコロコロ変える前首相を与し易(やす)しと侮った現首相と周辺人物による周到な仕掛けには、かつての“自民党戦国史”とは違う民主党の陰湿さや暗さを感じさせるあたりにやりきれなさが残るのだ。自民党と異なる“爽やかさ”や“透明性”を民主党に求めた支持者にはなおのことそうであろう。