勝敗が決した瞬間、４人目のキッカー、熊谷紗希に向けて駆け出すチームメートに、背番号８は、くるりと背を向けた。宮間は歓喜の輪に加わらず、敗れた米国選手一人一人を抱擁していた。
左足のアウトサイドでＧＫの逆をついてゴールを決めた宮間は駆け寄るレギュラー組を振り切り、控え選手の待つベンチへ駆けた。
試合後のインタビューでは、辛（つら）い時代を支えた代表ＯＧの名を次々あげて感謝の言葉を継いだ。
帰国後、テレビ各局をハシゴするイレブンの中に、彼女の姿はなかった。出演要請をすべて断り、「早く温泉に入りたいから」と所属クラブのある岡山に帰ってしまったのだという。岡山では「ただのフィーバーに終わらせないように地道な努力を続けたい」と語った。
