野田新内閣では、民主党が平成21年衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた「政策決定の内閣への一元化」の旗を降ろした。しかも玄葉光一郎外相、安住淳財務相ら重要閣僚が担当分野での経験が浅いため、民主党政策調査会の存在感が増すのは確実だ。仕切り役は前原誠司政調会長。これまで玄葉氏が政調会長と兼務した国家戦略担当相に起用された古川元久氏も前原氏と同じグループ。閣外に去った前原氏の後見人の仙谷由人前官房副長官が「闇将軍」として影響力を発揮しようとするのは間違いなさそうだ。
首相は8月30日、前原氏の起用に当たり、法案、予算、条約の国会提出について「政調会長の了承を原則とする」と明言した。
組閣名簿をみた財務省幹部は複雑な表情を浮かべて語った。政府と党の要職を歴任した重量級の岡田克也前幹事長の財務相就任に期待していたからだ。
小沢氏側近は仙谷氏への警戒を緩めていない。
「仙谷氏が糸を引き、前原氏を通じて政策決定権を握ろうとするはずだ」