裁判員裁判で初の全面無罪となり、2審が逆転有罪とした覚醒剤密輸事件の上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は13日、刑事裁判の控訴審について「1審と同じ立場で審理するのではなく事後審査に徹すべきで、1審判決を破棄するには論理則や経験則に照らして不合理だと示す必要がある」との初判断を示した。その上で「1審判決が不合理とはいえず検察の控訴も理由がない」として2審の有罪判決を破棄した。被告の再逆転無罪が確定する。
運んだ缶の中身を「覚醒剤と知らなかった」という被告の供述を信用できないとした2審判決を「(信用できないと判断した根拠が)十分と言い難い。1審判決のような(知っていたとは言えないとの)評価も可能」と指摘。1審の破棄は、刑事訴訟法の解釈を誤る法令違反に当たるとして、被告が有罪か無罪かの事実認定はせずに、1審の無罪を採用した。