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金融政策の限界

国際決済銀行(BIS)の2011-12年版の年次報告書が去る6月24日に公表されている。

報告書によれば、「金融緩和政策は、それ自体では、根本にある健全性の問題やより基礎的な構造的諸問題を解決できるものではない。それは、時間を買うことはできる。しかし実際には、その時間を浪費してしまうことをより容易にしかねないものである」(これは、私が普段よく言っていることと同じですが、この文章は、私が言っているのではなく、報告書に書いてあるものです)。言い換えると、長期にわたる異例の金融緩和の考えられる弊害の第1は、真の問題を覆い隠してしまい、本当の問題解決のための努力を鈍らせることである。したがって、現状の金融緩和策の下では、自律的な景気回復への復帰がかえって遅れてしまうという懸念がある。

考えられる弊害の第2は、長引く金融緩和は銀行業の収益基盤を徐々に掘り崩しかねないことである。利回り曲線が平坦化すると、銀行は満期変換の活動等から利益を上げられなくなる。その裏側で収益を求めて(search for yield)、新たな過度のリスクテイキングのリスクを生み出しかねないというのが、長短ともの金利低下がもたらしかねない弊害の第3である。そして、果敢で長期にわたる金融緩和は金融市場の働きを歪めてしまいかねないという弊害が第4に考えられる。